「北翔まつり」感想

感想が遅れてしまいました。ここんとこすっかり観劇で足を伸ばすのがご無沙汰になってしまい、コロナ禍の影響がなかったかと言うと嘘になる。コロナで中止になった演目が最近再演したけどチケット取る気になれなかったし、前は観劇でガス抜きしないと生きていけないと思ってたけど、我慢したらしたで普通に生きていけるじゃんということに気付いてしまったし。あと子供が成長して誤魔化しきれなくなったというのもあるでも贔屓の舞台は逃せませんよ。

北翔海莉25周年記念公演という名目でしたが、蓋を開けてみれば長男美治くんのお披露目公演でした。というのは出演者が発表された時に察しがついてましたが、実際の内容や公演の様子を知らせるチラシからもそれは明らか。ああいうのも歌舞伎などと似た世界なんですかね。そういう意味ですごく内輪感のある文字通り「北翔まつり」という感じでした。旦那さんと3歳になったばかりのお子さんと、あと縁のある方々にサポートを頼みながら北翔さんが自分のやりたいこと100%出し切った公演。客席の我々は家族じゃないけどそれに近い目線で見ているような気分になりました。

実際の内容はニ部構成で、第一部は松竹新喜劇の演目である「先ず健康」というお芝居。ファンは、北翔さんが藤山寛美の大ファンで旦那さんもその孫というのを知っているので誰も突っ込みません。実は私、藤山寛美という人は名前しか知らなくて、松竹新喜劇も見たことがありません。なのでどんな感じなんだろうと興味津々でしたが…………昭和だねえ!いや、昭和ですらファンタジーの域だと思う。観客は当時でも高めの年齢層だったからそれに合わせての脚本なのかもと想像しました。一人の老人を長男と次男が俺が引き取って面倒見ると奪い合う話で、それぞれの奥さんも好意的なんですよ。こんな「やさしいせかい」がどこにあるんじゃーい!とすっかりスレ切った私は思ってしまったのですが、これは話の内容より掛け合いを楽しむものだなと途中から考え直しました。見どころはやけに足の長いおじいさん。いくらじいさんコスをしたところで誤魔化しきれないでしょう、そのおみ足。北翔さんが藤山寛美のやった役をやりたいというのはよーーく分かった!しかもそのお孫さん兼旦那さんと共演して、息子までデビューして。ここまで自分のやりたいことをできるまでにした25年の足跡がすごいんだなと思います。だって普通やりたくてもできないもん。それを実現させて、見に来るお客までいる、25年かけてこの信頼を積み上げたんだなあと思うと感慨深いです。

第二部はほぼ出ずっぱりの和物レビュー。北翔さんはやれることが多いからあれもこれも詰め込んで、テーマがとっ散らかる印象あったんですが(失礼!)、今回は和物縛りでそれがいい方向に作用した感がありすっきりしてました。特に2本のライトセーバーを繋げて一本にしたような薙刀(でいいのかな?)捌き。かっこよかった!あと宝塚の和物メドレー。私が知ってるのは「風の次郎吉」と「桜花に舞え」だったけど、他にも新旧過去作を取り揃え朗々と歌っていて耳福のひと時でした。普通のお芝居やミュージカルだとずっと舞台上にいてくれないから個人リサイタルって本当に貴重ですよね。お子さんはあの声に日々接してるわけだよね?なんちゅー英才教育だ!

お子さんと言えば美治くんも二部に出てきました。かわいいだけで満点だから「犬のおまわりさん」でも全然よかったんだけど、そこは芸の道に進む定め、お父さんとデュエットしてて、フリーダムな感じ含めて微笑ましかったです。ロビーで美治くんのクリアファイルまで売ってたのにはびっくりしたけどな!

さて、場所は浅草公会堂というところで、浅草自体ほぼ初めてでした。そんなに遠くないところなのに灯台下暗しってやつです。海外の観光客が多いというか日本人はいないくらいのつもりでいたのですが(どんだけ偏った見方なんだ)周りから日本語が聞こえて来て7割くらいは日本だな!と認識を新たにしましたw 時間がなかったので観光できずに残念。でも最近リアルが災難続きだったので浅草寺にお参りだけしてきました。浅草寺からスカイツリーよく見えるんだね!とすっかりお上り気分。北翔さん追いかけていろんな場所に連れて行ってもらったなあとしみじみ思いながら浅草を後にしました。今回は、最近和物から遠ざかってるストレスを開放したんだろうなあと思ったので、次は洋物で長いおみ足見せつけてくれよな!とも思いました。

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