「紅はこべ」かーらーのー「ピグマリオン」

さて、実を言うとよりオススメしたいのがタイトルにもある通り同じ人が主演している1938年作「ピグマリオン」。評判はツイッターで教えてもらって知っていたけど、「紅はこべ」の関連動画に上がっていたものをちょっとのつもりで見たらこれが大発見!

有名なミュージカル「マイ・フェア・レディ」と同じ原作。レスリー・ハワードがヒギンズ教授を演じ、彼の魅力が十二分に引き出されていて映画としての完成度も高いんです!ミュージカル版と比べても遜色ない!特にヒギンズ教授はレスリー・ハワードの圧勝!ドSぷりも子供じみたところもバカなところも全部引っくるめて愛おしい!他の映画ではロマンチックな正統派2枚目の役が圧倒的に多かったであろう彼が、欠点だらけの未熟な男を生き生きと演じているのがおかしい。ポケットに手を突っ込んだままウロウロ歩きテーブルやピアノの上に平気で座って母親にぴしゃりと怒られるとこなんか本当に滑稽で痛快。自慢の作品だと思っていたイライザが一人の人間として自我を持つに至ってもひたすら認めようとしない愚かさ、失って初めてその存在の大きさに気付く悲しさが堪らない。本人は自立した立派な大人と思っていても、実際はたまたま裕福な家に生まれて苦労せず生きられただけの専門バカと言うのが分かる。でもなぜか同時にその愚かさも含めて愛せてしまう。だから原作通りイライザは戻って来ない方が良かったと言う声が根強いのは知っているんだけど、このヒギンズ教授見たら「イライザ、戻って来てくれてありがとう!」と思ってしまった。

実は「マイ・フェア・レディ」と台詞は殆ど同じなのね。「マイ・フェア・レディ」はオードリー・ヘップバーンとか有名すぎる衣装とかゴージャスな楽曲とかとにかく華やかな要素が多くて惹かれるけど、ドラマの部分に関しては役者の表情の細かい変化や台詞回しの間が深く考慮されている「ピグマリオン」の方が味わい深いとも言える。イライザを演じている女優さんもこれまたうまいんですよ。レディになっても失わない愛くるしさとか分からず屋のヒギンズにそれでも一縷の望みを託してしまう表情とか絶妙。

話変わるけど、彼だけでなく過去に「紅はこべ」でパーシーを演じた俳優は後にヒギンズ教授を演じてるんですね、何という縁でしょう。1982年版紅はこべのアンソニー・アンドリュースはウエストエンド再演で、そして1999年BBC版紅はこべのリチャードEグラントも最近シカゴの劇場でヒギンズ教授を演ったらしい。パーシーとヒギンズ教授のキャラって違う気もするが、どちらにも共通するのは英国紳士ということだからそういう役が得意な俳優がハマるということか。三者三様にダンディで、こんな人なら口にビー玉を詰め込まれてもいいやって思うwアンソニー・アンドリュース版は2012年のプロムスで披露されているんだけど残念ながらラジオで放送されたから音源しか残ってないんです。シカゴでもつい最近までやってたらしいけど…いやいや簡単にシカゴなんて行けないっす。いつか本場のパフォーマンス見てみたいね。前回に引き続き著作権の心配がないので字幕付きバージョンを上げてみます。

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