マイ・フェア・レディについての色々 その1

先日映画「ピグマリオン」について記事にしましたが、それ以来これのミュージカル化作品である「マイ・フェア・レディ」の動画を漁る日々が続いています。世界各国の舞台の一場面や元祖イライザのジュリー・アンドリュースの歌声とか諸々。そしてここに来て、かなり昔に見た映画版を再確認したくなりレンタルしてきましたよ。

有名すぎる映画だし評価も確立されているのは承知なんでここからはまるっきりの私見なんだけど、やはりジュリー・アンドリュースにイライザを演じて欲しかったとひしひしと感じてしまった。ジュリーの歌声って単にうまいだけでなく表情豊かで大きな世界観がある。それが歌の中に感情を表現しなければならないミュージカルの場合にとても活きてくると思うのだけど。オードリーの歌声も聴いてみたけどかなり努力の跡が窺えるのは確か。でも「Wouldn’t it be lovely?」はまずまずだったけど「I could have danced all night」はうーん…ちょっと苦しい。何せこの歌はソプラノ向けなのにオードリーはアルトだから可哀想である。やはり吹き替えは仕方なかったと思う。でも地声と歌声が合ってないし口の動きとも一致してないので不自然なんだよなあ。現代だったらプロの歌手でない俳優に直接歌わせるのが主流なのでオードリーの歌でもGoサインが出たと思うけど。それにイライザって別に絶世の美女である必要ないよね?「ピグマリオン」のイライザは「イギリスドラマの法則※」に合致してたけど、愛くるしさがあったしレディになってからの気品も十分だった。オードリーは、アスコット競馬場や舞踏会に現れた時は息を飲む美しさだけど、下町の花売り娘の時から美貌がこぼれてしまっている。もちろん演技力については文句ないんだけど。結局彼女達のどちらも悪くないのに禍根を残す結果になったし、だったら舞台と同じくジュリー・アンドリュースを起用しとけばよかったんじゃ(そしたら「メリー・ポピンズ」が存在しないということになるのか)。ただ、もしそうだったらこれほどヒットしなかったかもなという気は何となくある。

次にレックス・ハリソン演じるヒギンズ教授。申し訳ないけど私彼の魅力が分からない!!傲慢さや偏屈さは感じるけどエキセントリックではないしユーモアも可愛げもないしむしろ女たらしに見える!それに「ピグマリオン」ではヒギンズは45歳設定だったけど映画版はもう少し年齢高めなのも気になる。もっともレスリー・ハワードは若めに見えるから(伊達に40越えてロミオを演じてないw)余計そう思ってしまうのだけど。それに歌も…台詞なのか歌なのか分からないくらい崩しているのだが敢えてなのかそうでないのかどっちなのw彼はブロードウェイ初演からヒギンズを演じてるからこれがスタンダードなんだろうけど、後世に演じてるヒギンズは皆彼よりきちんと歌えているwwwそのせいか?ヒギンズにはシンガーではない俳優が起用されているケースが少なくないような気がする。確か2018年にコリン・ファース主演でブロードウェイで再演されるんだっけ?(ミスター・ダーシーもいよいよヒギンズか!)それはともかく、映画についてはイライザを変えるくらいならこっちを変えろよと思ってしまったwやはりヒギンズはセクシーさと可愛さが奇跡の同居をしているレスリー・ハワードに軍配が上がる。

それでも名作であることには変わりないんですがね。原作の力が強いし音楽も名曲揃いで長丁場でも退屈しない。イライザとヒギンズ以外のキャラも光ってて、ドゥーリトルはロクデナシの酔いどれ親父だけどなぜか憎めず、盛り上がる曲を2曲も持ってて本当においしい役だと思う。フレディも典型的なかませ犬キャラだけど「On the street where you live」という作品を代表する曲を貰ってるし、ヒギンズ夫人も見ている側が言って欲しかったことをズバリ代弁してくれていい味出してる。

※1982年紅はこべドラマの記事にも書いたけど、イギリスドラマでは「それほど美人かな…?」な人がしばしばヒロインに起用される(それが絶世の美女設定であっても)ことから勝手に私が名付けた法則であーる。個人的には完璧すぎるハリウッド型美人よりは好感持てるんですけどね。

長くなったので次回に続きますよっと。

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