ホームズ短編集全作品の一言感想 その3

さて3回に渡ってお送りしたホームズ短編一言感想シリーズ完結編です。今回は最終巻の「事件簿」、今回は1冊のみということでちょっと文章が長めになっているwしばらくしたら長編にもトライしようと思います。いや、長編は昔読んだことがあって実家に文庫本も残ってるはずなのに内容が思い出せない…

⑤シャーロック・ホームズの事件簿
高名な依頼人
今でもあるよね。世間知らずの娘が恋に盲目になり、男の悪い評判を吹き込まれても却って燃料投下となり恋の炎が燃え盛るってやつ。さすがのホームズも手を焼いてしまう。そこで男が過去の女性コレクションを記録した手帳を盗もうという話になるんだけど今でもあるよね何でわざわざ記録に残しとくかね、ジェームズ三木とか(知ってる人いるかな?)。またここではワトソンが活躍する。ホームズの無茶振りに応え僅かの時間で中国磁気について猛勉強して、磁器マニアの犯人を騙しに行ったのだ。その甲斐あり何とか騙せる位までにはなる(騙しきれなくなる頃合いまでホームズに計算されてるのにはムカつくけどw)。高名な依頼人とはエリザベス2世のひいじいちゃんということでOK?
白面の兵士
ワトソンの文章に余りにもケチをつけたため「自分で書いてみろ!」と言われホームズが自ら語り手となった珍しい作品。そこで初めてワトソンの偉大さに気付き反省する。もっと早く気付けよ!ホームズが思う以上にワトソン有能だと思うぞ!話はこの時代ならではという内容。日本においても今でも爪痕残ってるよね。
マザリンの宝石
これもまた第三者が語り手となっている。ワトソンが久しぶりにベーカー街にやってくるとビリーという少年がボーイとして働いていた。新キャラの活躍に期待が高まるが肩透かしに終わる。ここではある文明の利器がトリックに使われるが現代の我々からするとピンと来ない。でも当時の読者にとっては画期的だったのだろうか?そう言えば有名な松本清張の小説にも当時最先端だったある物を犯行に利用してたっけ。
三破風館
ホームズ作品には珍しくコッテコテの悪女が出てくる。ファム・ファタールってやつ?むしろミステリーにありがちなこの類のキャラが今まで出て来なかったのが不思議。アイリーンはまた違うタイプだし。でもホームズ世界には不釣り合いかも?老婦人が一人で住む屋敷の中にある何かを巡って策謀が張り巡らされる。
サセックスの吸血鬼
母親が産まれたばかりの子供の血を吸っている!おまけに前妻の子を虐待している!となかなかショッキングな話でタイトルも「吸血鬼」なんて恐ろしげだけど真相は…。いや、犯人の心の奥底を思うと背筋が寒くなりやはりスッキリする話ではない。でも一番の見所はあのホームズが、全く所帯臭さを感じさせないホームズが赤ん坊をあやすシーンではないでしょうか!?笑顔を浮かべながら「さようなら、おちびちゃん。君の人生は不思議な始まり方をしたね」とかレアすぎるよ!
三人ガリデブ
前にも書いたようにコンビ萌えな人にとってご褒美のような回。犯人と格闘してワトソンが撃たれホームズがガチギレ、それを見たワトソンが感動する。他の登場人物も魅力的で、人より物に興味がある風変わりで偏屈なコレクターとか無謀にもホームズを騙す気満々のアメリカ人とか楽しい。ワトソンが冒頭で書いてるようにある意味喜劇なのかも。
ソア橋
後期は登場人物の心の闇に迫る作品が多くなった印象。だから作風が暗くなった印象があるのかな。これもボタンのかけ違いによって人が段々と犯罪に手を染める方向へ誘導されていった話。陥れられた無実の人間のほうにもなぜか感情移入できないのよね個人的に…そういう意味では犯人に同情してしまう。
這う男
これはホームズ作品史上最もトンチキな話と言ってもいいのでは?動機までは了解可能なんですがね…どちらかと言うと推理物より怪奇小説と言った方が適切かも。最早ホームズの生活の一部と言っていい位当たり前の存在になっているワトソン。「都合が良ければすぐ来てくれ、悪くても来てくれ」ってホームズお前はジャイアンかよ!
ライオンのたてがみ
ホームズ引退後遭遇した事件なのでワトソンは出て来ず一人で解決している。よって語り手もホームズ自身。初めの頃は刺激がないとコカインに手を出すくらいとんがっていたのに静かな田舎に引っ込むとは。薬の話も出て来なくなったし彼も歳をとって丸くなったということでいいの?
覆面の下宿人
冒頭の書き出しが本筋とは関係ないが秀逸。「事件の記録は完全に極秘だが最近それを暴こうとした者がいる。もし同じことがもう一度起これば◯◯と言うキーワードの事件が大衆に明かされるだろう。これの意味が分かる読者が少なくとも一人いる」よく分からないけど引き込まれるでしょ?!本筋は謎解き要素はないが、一人の人間の数奇な運命にホームズが寄り添う話。凄惨だけど最後に救いが残されている。
ショスコム・オールド・プレイス
廃墟の礼拝堂が出て来るなどホラーな仕掛けが用意されている。でも真実は…のパターン。みんなギャンブルが好きなんだなあ。ワトソンも傷痍年金の半分を競馬に使っているというし。
隠居絵具師
最後の作品だけど最後の最後でワトソンがホームズに褒められる!またもや忙しいホームズの代わりにワトソンが調査に行くのだけど劇場のチケットの番号を偶然覚えていたのだ。というのも彼の昔の学生番号と関連づけていたからたまたま覚えられたのだが、ホームズのような人は関連付けなくても暗記できてしまうんだよね。これが我々凡人との違いなのだと思う。

一通り原作を読み通して思うのは、ホームズは確かに紳士的だけどワトソンに対する仕打ちが結構ひどいということwそれでいてワトソンが危機に陥ると本気で心配するところがいいよなあと思う。ワトソンは温厚だからホームズに何されても怒らないんだけど、我々読者はワトソンの記述でしか詳細を知ることはできないから実際はどんなんだったんだろうと考えると色々味わい深い。結構ホームズが逆襲されてたらそれはそれで面白い(それ新ロシア版w)。

 

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