YouTubeで海外ミュージカルの動画を見るのが日課になりつつある今日この頃、最近はハイスクールミュージカルに凝ってます。 同名の人気ドラマのことではありません、アメリカの高校生が部活動で取り組んでいるミュージカルのことです。それが多数YouTubeに上がってるのだけど、まー高校生だしなーと甘く見てたらこれがなかなかクオリティ高くてびっくり。何ヶ月も前から取り組み直前は夜遅くまで残って練習してかなり力を入れてやるみたい。もちろんプロには及ばないし人員や予算も限られているので至らない点も多いのですが、高校生でここまでできちゃうの?というものばかりだし、例え完成度が低い物でもどこかに必ず光る所があったりちょっと嫉妬しちゃう位すごいんです。あちらのミュージカル文化の層の厚さを思い知らされました。日本だとどうなんだろ?ごく一部の専門的にやってる所以外は難しいんじゃないかな?
そこで出会ったのがタイトルにある「バイバイバーディー」(原題 Bye Bye Birdie)という1960年のミュージカル。この演目日本では知られてないけど、アメリカでは多くの高校で上演され動画も沢山あるんです。エルビス・プレスリーが兵役に就いた時ファンが大抗議した騒動を元に作られた作品で1963年には映画化もされている。映画版のために作られたタイトルと同名の主題歌は日本でも中尾ミエがカバーしてヒットしたそう。では中尾ミエのパワフルでキュートな歌声をお聞きください(なぜかDJ風w)。
簡単なあらすじ。アメリカを代表する大人気ロックスターコンラッド・バーディーが兵役に就くことになった。マネージャーのアルバートは秘書兼恋人のローズと共に、ファンクラブの中から無作為に1人の少女を選び、エド・サリバンショーで「One Last Kiss」という曲をコンラッドが披露しその少女にキスをするというパフォーマンスを思い付く。選ばれたのはオハイオ州スイートアップルに住む15歳の少女キム。自分の街に大スターが来ると知ってスイートアップルのティーン達は大はしゃぎ。しかしキムの恋人であるヒューゴは心穏やかでなかった。そしてエド・サリバンショーの中でコンラッドがキムにキスをしようとした時、突然ヒューゴに殴られてしまい大変なことに…
他にも、過干渉なアルバートの母親が出てきてローズとの関係を壊そうとしたり、キムの父親はキスなんて許せん!と怒ってたのが家族全員エド・サリバンショー(昔NHKでアーカイブ放送してましたね、また見たいなあ)に出演できると知るや手のひら返したり、コンラッドがスイートアップルに来て公衆の前で歌を披露したら腰をクイッとするだけで失神者続出で終いには女子全員が倒れたりなどバカバカしくて本当に賑やか!
映画版では舞台と少し内容が変わっているらしい。削られた曲もあるし歌われるシチュエーションが舞台と違っているものもある。ローズの人どこかで見たことあるなーと思ってたらヒッチコックの「サイコ」で殺されるあの人、ジャネット・リーでした!殺される役なんで出番少ないけど、切り裂くようなバイオリンの不協和音の中シャワー中に襲われるあの有名なシーンが印象強すぎてすぐに分かった。アルバートはメリー・ポピンズのチムチムニーの人、デイック・ヴァン・ダイク。「Put on a Happy Face」という曲では軽快なダンスも披露してて、このシーンが本当にチャーミングで胸キュンなんですよ。金髪でグラマーな健康的アメリカン美少女のキムを演じたアン・マルグレートはこれがきっかけで人気を博し本物のエルビスと多く共演することになったというのだから不思議ですね。では映画の中から先ほどご紹介した「Put on a Happy Face」をどうぞ(ここもDJ風かよ!)。
いかにも古き良きミュージカルという感じで少し強引な展開もあるけど頭空っぽにして楽しめる作品。曲もキャッチーで一度聴けばすぐに頭に入る。エルビスというモデルがいるのにコンラッドの扱いが結構ひどくてこれ許されるの?と思うが昔はおおらかだったということなのか?ダンスシーンは多いけど歌自体はとても難解という訳ではないし、アンサンブルも出番が多くて多くの人に見せ場があるし、衣装やセットも大掛かりではないし、自由な演出ができる演目だから色んな制約にも対応できそう。高校生がトライしやすいミュージカルという感じがする。また、エルビス・プレスリーにエド・サリバンなどアメリカ人の郷愁がいっぱい詰まっててみんなにこよなく愛されてるんだなというのが容易に想像できる。
近年では2009年にリバイバル上演されて、アルバートを「フルハウス」のジェシーおいたんが演ったらしい!見てみたかった!また、2017年の米NBC主催のブロードウェイライブ配信の演目がこれなんだって。ジェニファー・ロペスがローズ役で内容は現代に合わせて変えるようだけど。
多分今更日本で上演される舞台ではないと思うけど(アメリカでの人気は懐かしさ込みのものだと思うしやはり古い作品というのは否めない、明るくておバカなコメディーよりも悲劇や感動物の方が日本人には受けそう)YouTubeには多くの高校で上演した映像があるので、興味を持たれたらぜひ見てください(どれを見るかは再生数やコメント欄を基準に判断するといいかも。私は無条件に感動してますが、実際は高校生相手に容赦なく厳しい意見が書き込まれることがあり、あちらの人は目が肥えているから辛口になるのかな?と思ったりもする)最後に個人的に一番印象的だったハイスクールプロダクションの舞台の映像を上げときますね。高校生でここまでできるなんてすごいですね〜!