ご無沙汰してました。パジャマゲームロスの余り体調を崩して、というのは流石に嘘ですがw風邪がなかなか治らず最近やっと鼻歌が歌えるくらいには喉が回復してきました。でも「あいならぁーーまけないよおー」の音が上がるところで声が抜けてしまい1人赤面したり。
そんなこんなでブログもお休みしてましたが通常営業に戻りぼちぼち再開します。とは言え新しい作品を見るのはまだちとハードルが高いのでリハビリと言っては何ですが過去に見た作品の話をしようかと。
「英国王のスピーチ」有名ですね。アカデミー賞も作品賞や主演男優賞など主要部門含め多数受賞しました。私も公開当時から名前は知っていたけど見逃してしまっていたんです、仕事や何やかんやで忙しくて。そんな私が後になって見るきっかけになったのは、そう、ボールドウィン首相を演じたアンソニー・アンドリュースの存在。彼最近はなかなか仕事してくれないんですよ。ボランティア活動は熱心みたいだけど向こうでもマイペースな俳優と思われてるらしい。だから出番は多くないけど彼が出ていると知って欠かさずチェックしたという訳です。
でも実際見たらそれ以前に2005BBC版高慢と偏見(P&P)クラスタは必見の映画ではないか!!なぜ私は今まで放置してたんだバカバカバカーー!となってしまって。ミスター・ダーシーことコリン・ファースが出ているのは周知の事実ですが、それだけじゃないんです!あの一度見たら忘れないミスター・コリンズが!彼の顔を見た瞬間「お久しぶり!何でここにいるの?」と声をかけそうになってしまった!ジョージ6世の吃音を直す言語療法士ライオネル・ローグはシェークスピア俳優志望でもあるんだけど、とあるシェークスピア劇のオーディションの審査員がコリンズさんなんですよw出番はそこだけなんだけどP&Pクラスタにとってはとても嬉しい再会でした。そして!もっとすごいのがリジーことジェニファー・イーリーがライオネルの妻役なんです!これにはかなり興奮してしまった!特にジョージ6世とローグ夫人が初めて出会う場面があるんだけど、ライオネルは妻を驚かせたいから勿体ぶって焦らすんですね。ここは世界中に散らばるP&Pクラスタが悶える場面だよね。「ああ…時と場所を超えてミスター・ダーシーとリジーが再会だなんて…!」みたいな。スタッフも絶対に分かってやってると思う。何なら王妃役をジェニファー・イーリーにしてもよかったと個人的には思うけど、ここは知名度のある女優を選択したのだろうな。もちろんヘレナ・ボナム・カーターで不満はないけど。邪悪な魔女とか人肉ミートパイおばさんとかアクの強い役ばかり見慣れてるから普通の人なのが逆に新鮮だった。
ここで簡単なあらすじ。後のジョージ6世ことアルバート王子は吃音症に悩まされ公的なスピーチが大の苦手だった。訓練を積んでも克服できず悩む彼を見かねて妻のエリザベス妃(エリザベスがたくさんいて混乱するけど現在のエリザベス2世はこのジョージ6世とエリザベス妃の娘なんですね)は言語療法士のライオネルに治療を依頼。アルバートは妻と共に彼の元を訪ねたが、ライオネルは条件としてアルバートを愛称で呼ぶ、自身のオフィスで訓練を行うと言ったルールを定めた。プライド高いアルバートは逆上して一旦は部屋を飛び出したが、後にライオネルの手腕を認めレッスンを受けることになった。一方父のジョージ5世の後継となっている兄のデイビッド王子(後のエドワード8世)はアメリカ人で2度の離婚歴があるウォレス・シンプソンと結婚したがっていた。やがてジョージ5世が崩御し予定通りエドワード8世が即位したが1年未満で退位し、ウォレスを選んでしまう(王様は英国国教会の長でもあるから離婚歴のある女性とは結婚できなかったらしい)。本来予定になかった弟のアルバートがジョージ6世として王位を継ぐことになったが、ライオネルとは一旦喧嘩別れしてしまい吃音症は克服されないままだった。そこで再び彼を呼び寄せレッスンを再開する…
最初に言及したアンソニー・アンドリュースの話に戻ります。ここではナチスドイツの台頭や国内の王位継承問題に頭を悩ませジョージ6世に進言するボールドウィン首相の役なんですが面白いことを言ってるんですね。「我々が兄上の結婚に反対する理由はウォレス・シンプソンがアメリカ人だからでも離婚歴があるからでもない。彼女はナチスとつながっていてスパイ疑惑があるんです」と。何が面白いかって、アンソニー・アンドリュースは過去にエドワード8世を演じたことがあるからw因みにその時ウォレス・シンプソンを演じたのがジェーン・シーモア。そう、紅はこべのパーシー&マルグリートコンビが再びタッグを組んだのです。「The Woman He Loved」ってアメリカ制作のドラマなんだけど、かなり2人を好意的に描いたラブロマンスでしたね。しかしその感想(英語)を見たらエドワード8世ってあちらではえっらい嫌われてるんですね。ドラマについての言及は少なく殆ど「エドワード8世はナチスシンパだった、ウォレスもとんだビッチだ、2人ともバカだ」の大合唱。普段から痩せ型のアンソニー・アンドリュースが更に身体を絞って役作りして(彼自身は温かみのある雰囲気なのでエドワード8世のどこか酷薄なイメージを出したかったと思われる)、国民に退位を知らせる有名なラジオ放送の場面はかなり力入ってるのに(英国王のスピーチでも同じシーンありましたね)みんなもっと見てやってよw!ただ「王冠をかけた恋」なんて部外者だから言えるんであって、国が一番大変な時に王位を捨て女に走ってしかも敵国になびくなんて確かに英国民なら許せないよなとは思う。アメリカだから作れたドラマだったんでしょう。だから「英国王のスピーチ」のエドワード8世の描写もかなり悪意あるよね。実際はそこまで兄弟仲悪くなかったらしい。でもエリザベス妃は彼等のせいでジョージ6世が予定外の王座を継ぐことになり要らぬストレスを抱え若死にした事を最後まで恨みに思っていたとのこと。蛇足だけど更に面白いのは、アンソニー・アンドリュースはジョージ6世の役もやったことあるんです。本人は貴族の役は避けてきたとかインタビューで語ってたけど王族ならいいんかい!って思わず突っ込んでしまったw
すまんすまん、好きな俳優の話になるとつい長くなってしまって。締める前に小ネタを。この映画の冒頭でライオネルに出会う前、ジョージ6世が他の言語療法士にビー玉を口に詰め込まれ耐えきれず吐き出してこんなのできるか!とキレる場面、「マイフェアレディ」のあそこと一緒ですねwイライザがビー玉を飲み込んでしまいヒギンズに「大丈夫、ビー玉はたくさんあるから」と言われるところwライオネルはカウンセラーみたいな役割も果たしており(多分に映画の創作なんだろうけど)ヒギンズより優秀な指導者に見えるwあと、ラストシーンで流れる音楽はベートーベンの曲だけどどうしてここで敵国のドイツ人の音楽を選んだのだろうと考えてしまった。他の方はそこんとこどう解釈してるのだろう。アカデミー賞受けする内容ではあるけど少し地味なので実際に受賞したと聞くと少し意外な気持ちもある。でもとにかく錚々たる英国俳優を多数拝めるのでいい映画です。