ブログに紅はこべカテゴリーがあるほどの私が見逃すわけにはいかないでしょう!ということで行ってきましたミュージカル「スカーレットピンパーネル」。去年の初演からわずか1年後に再演という事でどれだけ人気演目かが分かります。
と、その前にここでお断り。今回の記事は実はとても書きにくい!というのも確かに個人的には好きな作品なんだけど絶賛するほどかと言われると…うーん?確かに去年初めて観た時は「すごい!面白い!」だったけど回を重ねるとちょっとアラも見えてきて…今年の再演版でも大きくは変わってなかったし…一年で再演するほどの名作かと言われるとうーん…でもこき下ろす気にはなれない。キャストの力が優れているのは分かってるし音楽もいい!でも各ピースがうまくハマってない所があるというか…いい所もたくさんあるから誰かを下げる書き方になるのが嫌なのです。なので気をつけるけど気分を害される方がいたらごめんなさい。
まずはいい所を挙げましょう。まず何より音楽がいい!ワイルドホーン節とも言える楽曲群は聴いてて本当に高揚感が湧きます!あの難しい曲を歌いこなせる人は限られてしまうんだろうけど主要3人は本当に手堅い人を選んだなと。石丸さんはテレビでも歌っている所が見られるけど生だと迫力が全然違う!高く通るテノールで耳が幸せ。特に「Into the Fire」は男声コーラスありきの曲だと思う。安蘭さんは歌は勿論だけど個人的に推したいのは最後の二刀流(!)の決闘シーン。前の記事にも書いたけど本当に上手でかっこいい!さすが元男役なだけある。しかもドレス姿(実際は下着の部分だけど)であの機敏な動きをしているのだからどれだけすごいことか!何であそこで拍手起こらないかなあ?海外ならヒューヒューもんだと思うけど。石井さんもパーシーとの掛け合いは去年よりもスムーズになってたと思う。特にコメディの部分は去年よりも笑いが起きていた。ショーヴランって本当は蛇のように粘着質で狡猾な嫌な奴なんだけど石井ショーヴランはちょっと憎めないと言うか愛嬌めいたものがある(むしろ宝塚版の方が原作に近いんですよね)。それが実際にやってることの悪どさと比較して戸惑いを覚える人もいるだろうけど、あの世界観ならそんな役作りもありだと思う。それにショーヴランの歌は男性が歌った方がセクシーに聞こえる。
と言うようにキャストはいいんですよ。ただねえ…これパーシー、マルグリート、ショーヴランの3人さえしっかりしてればどうにかなる作品だよね?!と言ったらその他のファンの方たちに怒られそうだな。色んな感想見ると脇役の俳優さんまでよく観察している方が多いので私も今回はちゃんと細部まで観ようと思ったけどすまぬ、やっぱりよく分からなかった…ピンパネ団の中では差別化されてそうなアントニーも途中で見失ってしまったほど!アルマンももうちょっと見せ場あってもいいと思うんだけど…しかしこれは役者さんの問題ではなくて脚本のせいだと思うんですよ。3人以外活躍できないようになってるんだもの!これじゃ役者の無駄遣いだよ!個々は素晴らしい才能の持ち主なのにそれが生かされないって本当にもったいない!ロベスピエールだって2幕冒頭に見せ場あるけど殆どここだけ。もったいない!MOTTAINAI!
ここでもっと大きな不満を吐いてしまうけど、去年チケットが飛ぶように売れたのはピンパネ団にイケメンの若手俳優を配したからなんですね。勿論主要メンバーも実力者揃いで客を惹きつける力は十分にあるけど、それだけでは「初演は即完売わずか1年後に再演」なんて事にはならないはずなんです。しかしチケットの売り上げはイケメン俳優頼みなのに実際はその彼等に活躍の場面が殆ど当てられないのってどうよ?と個人的には思うわけです。あーはっきり言ってしまった!前からずっと思ってたことなんだけど。だって私が彼等のファンだったら悲しむよ?そういうファン心理を利用した売り方にモヤモヤと言うか…「それでも売れなきゃ何も始まらないんだよ!!」と私の脳内梅芸が叫ぶのも分かるんだけどね。
あと他にも…宝塚版で代表曲となった「ひとかけらの勇気」を梅芸版にも入れてる(タイトルは違うけど)んだけど、私全然印象に残らなかったんですね。それで今回はしかと見届けようとしたんだけどこの歌の入る導入部が
トニー「サンシール侯爵が死んだ!」
パーシー「死んだ?!」
このやり取りだけでいきなり歌が始まるんです。「おいおい」と心の中でツッコミを入れてしまいましたwこれじゃ「取って付けた感」がありすぎる。だってパーシーにとってサンシール侯爵がどんな人物か観客に提示されてないし(因みにミュージカルではいい人扱いされてるサンシール侯爵ですが原作では自分の娘に恋をしたという理由だけでアルマンを半殺しに遭わせるような人です。それをマルグリートが恨みに思って彼がオーストリアと内通している事をついぽろっと漏らしてしまい、サンシール一家を断頭台へ送るきっかけを作ってしまうのです)同じ歌が2幕でマルグリートによって歌われるんだけどやはり宝塚版のようなインパクトはない。
もう一つ、これは前にも書いたんだけど、梅芸版から追加になったロベスピエールの曲。フランス側の正義を主張する内容なんだけど役者さんの実力があるから上手くてとても説得力がある。でも単純な勧善懲悪物のスカピンで正義と悪の相対化なんて要らないよね?どうしても入れたかったらロベスピエールが歌う背景に兵士が貴族をいたぶるシルエットでも映して歌と映像の内容を乖離させる演出でもした方が…と思ってしまった。今回は兵士が行進するシルエットは映っていたけれど…
最後に、これで最後だから言わせてくれ!私はパーシーとマルグリートにキュンキュンしたいんだ!だから次再演することがあれば主要メンバー3人がらっと変更してもいいと思う!今のキャストも不満ないんですよ。先にも書いたように皆芸達者だし。でもパーシーとマルグリートって夫婦には見えない…のは私だけ?2人とも一人だけで十分に生きていけそうに見えてしまうんだよな。ショーヴランもマルグリートと恋人だったようには見えない。飲み友達には見えるんだけど。3人揃うと相性良さそうなんですよ。でも2人同士ではしっくり来ない、不思議だけど。こんな事思うの私だけかな。
とまあ、色々不満を述べてしまったが愛ゆえということで許してほしい。私も「紅はこべ」が完璧な作品なんて思っちゃいない。むしろ穴だらけで「こまけえことはいいんだよ」と勢いで突っ走る作品だと思ってる。そんな作品を下敷きにしてるんだからミュージカル版もツッコミ所があるのは承知である(「知恵で出し抜くんだ!」と言いつつその直後のシーンで変装したピンパネ団がチャンバラで敵を倒していても今更突っ込んじゃダメですよw)。でもその分他にはない魅力もあるのでそういう部分を他の人と共有できたらいいなと思う。今年は宝塚でも再演したしこんなに人気なら続編の翻訳出てくれないかな〜。
はじめまして。「紅はこべ続編」で調べていたらこちらにたどり着きました。12月になって「紅はこべ」河出文庫を読み好きになったばかりで、まだ映像作品も見ていませんし、舞台も見逃してしまった感じです。「紅はこべ」に大変お詳しい雑食様、ご質問させていただきたいのですが、「紅はこべ」続編はすべて英語本をご自身で訳しながら読まれたようですが、何を読まれたのでしょうか?アマゾン等で手に入るペーパーバックを購入されたのでしょうか?ぜひ参考にさせてください。よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。多くの方と紅はこべの良さを分かち合いたい私としてはこの上なく嬉しいです!日本では紅はこべシリーズは1巻しかありませんが、2巻の「I Will Repay!」については過去に翻訳されたものがあったそうです(すでに絶版で入手困難)。この作品は約100年前に刊行されたもので著作権が切れているので、海外の有志の方が電子テキストにしてくれて公開されています。「ブレイクニー・マナー」
http://blakeneymanor.com
というサイトで「Book」から全巻へのリンクがあります。私もこれを利用しており、何より分からない単語を調べるのが便利なのでとても助かっています(まとまった文章をそのままコピペして英→日翻訳に放り込むと訳の分からない文章になりますがw)。オルツィさんの文章は結構冗長でw読むのに苦労しますが、話の展開が進むと意外にするする読めるようになります。私もまだ4巻までしか読んでないのですが4巻の「エルドラド」はおすすめです。3巻もなかなか面白いですよ。
雑食様
お返事ありがとうございました。私の方こそ、いまものすごく嬉しいです!2巻の訳が入っている全集が読めないか、近所の図書館とか古書検索等調べてましたが・・無理で、洋書を購入して自力で翻訳しようと思い始めていた所でした。「ブレイクニー・マナー」を教えてくださってありがとうございます!夢のようなサイトですね。雑食様をはじめ、紅はこべの為に力を尽くしてくれる人がいることに感謝です(大げさ?)。これからすみずみまで楽しもうと思います・・・おすすめは3巻4巻ですね、とりあえずまずはパーシーの出番少ないみたいですが2巻から順番に頑張ってみようと思います。私はハマるとけっこうオタクになるので、同人でやって的な内容も楽しみで仕方ありません。私もパーシーとマルグリートをキュンキュン妄想しています!そしてこれから宝塚やドラマ・映画版等、広げていきたいと思います。私は主婦でツイッター等やっていないので、またこちらで紅はこべ記事にコメントしますのでよろしくお願いします。長文失礼いたしました。
私こそ嬉しいです!作品自体はミュージカル等でそれなりに知られていますが紅はこべの世界に興味を持たれる方となると少ないので、こんな自己満足なブログでもw続けてよかったなあと思いましたwまた折を見て紅はこべの記事も書こうと思います。
映像化作品で有名なのは1934年映画版と1982年ドラマ版、1999年BBC版でしょうか。私は1999年版は未見なのですが、NHKで放送されたことがありDVDが入手可能です。しかし海外で一番評価高いのは1982年のドラマ版だと思います。こちらは日本では紹介されていませんが、youtubeに動画はあります。私はそれで興味を持って輸入盤DVDを買い英語字幕で観ました。過去記事にもありますが、とても好きな作品でおすすめです。
1934年映画版は最近日本語字幕付きのDVDが発売されました。短髪ですがパーシーのビジュアルは一番原作に近いと思います。これも面白いですよ。
zasshokuさま
こんにちは、以前から楽しく拝見しています。
今回初めてコメントしようと思ったのは、「スカーレットピンパーネル」のzasshokuさまの感想が、私のものとほとんど同じだったからです。
全体的にレベルの高い作品であったことは確かですが、私も「マルグリート、あんたパーシーの愛情なんて別に必要ないでしょう?」と思ったので、こちらの記事は大笑い&納得でした。
ありがとうございます。
舞台以外でも、海外のコスチュームドラマや原作が大好きなので、またzasshokuさまの記事を拝見するのを楽しみにしていますね。
どうぞ宜しくお願いします。
初めてのコメントありがとうございます!
この記事は賞賛だけではないので正直反応が心配な所もあったのですが同じ感想の方がいらしたと知って安心しましたw苦言ぽくせず面白おかしく書こうとしたのですが楽しんで頂けたようでよかったですw因みに蛇足ですが、記事中の「マルグリートとショーヴランが飲み友達に見える」と言うのは2人が立ち飲み居酒屋で「貴族ムカつくよね〜」とクダを巻いてるイメージでしたww
コスチュームドラマもお好きとのことで嬉しいです。見たいドラマは溜まってるのですが最近忙しくて時間が取れないのが悩みどころです。これからもぼちぼちやっていこうと思うのでよろしくお願いします。