雪組「JFK/バロック千一夜」

今年の7月頃にNHK BSでやってた宝塚雪組「JFK/バロック千一夜」録画してたのを今になってやっと観ました。あの初演「エリザベート」の雪組が前にやってた公演ということで録画してたけどつい後回しになってしまって。最近宝塚時代の北翔さんの舞台のソフトを観たせいで興味が湧いたのです。

まずは「JFK」から。アメリカの第35代大統領ジョンFケネディの半生を追ったものなんだけど、なんつーか、子供向けの伝記小説をミュージカルにしましたと言うか…演者の頑張りによって何とか観られる物になってるけど脚本ショボイヨーと思ったら、「作・演出:小池修一郎」なのかw海外ミュージカルの潤色は得意だけど自分で一から作るのは苦手なのかな?

エリザベートを先に観たせいかつい役名で人を判別してしまう。「エリザベートの両親はここでも夫婦役なのか」とか「マデレーネがマリリン・モンローか」とか「ゾフィーはキング牧師の妻役か」などちょっと混乱するw

いい所もあるんだけどツッコミ所が多い。「そこまで律儀に歌で説明しなくていいよ」なナンバーが目に付くし(選挙戦で対立候補は汗っかきだけどケネディはスタイリッシュ〜みたいな歌や大統領になってからの閣僚紹介ソングとかとにかく説明過多)フルシチョフとカストロの扱いはマンガ的だけどそれでいいのw?ケネディはプレイボーイの描写はあるけど結婚してからは遊んでる様子はないしマリリンとも不倫してない。弟のロバートはマリリンを好きになるも道ならぬ恋に苦悩したりと、私が知ってるJFKと違う!すみれコード的に不倫はNGなのか?!でも一方でマリリンがドラッグジャンキーな描写はあり、ケネディと「アンフェタミンっていい薬よね!」とお薬談義しているシーンはセーフらしいw因みにそこでケネディが「一粒300メートル!」と言ってるんだけどアドリブかな???妻のジャクリーヌも後の夫となるオナシスの船上パーティーに出席する描写はあるけど「夫は野心ではなくて理想のために戦っているんです!」と言ってたり、まあここでは余り掘り下げもできないよなあとは思うが。実在した政治家という綺麗事ばかりではない存在を宝塚の世界に当てはめようとしているので色々無理が出てしまうのは仕方ないけどもうちょっとどうにかならなかったかしら?

それでもついつい観てしまうのは演者の力ゆえ。このメンバーだからあの「エリザベート」が作れたのかなと思う。ケネディは当然トップの一路さんなんだけどまー歌が上手くて聴き惚れてしまう。女優になってからの歌も聴いたけど、男役歌唱の方がハマってると個人的には思う。ビジュアル的には実物に寄せる気ナッシングでむしろ潔い位だけど、朗々と歌い上げる様は流石トップのオーラに満ちてました。

妻のジャクリーヌは花總まりさん。この時22歳くらい?とはとても思えぬ貫禄なのがすごい。50年代〜60年代のファッションを着こなしておりとてもよく似合っている。が、ジャクリーヌに似ていたかどうかまでは知らない。

兄を支える弟のロバートは2番手の高嶺ふぶきさん。本人には野心がなく兄のよき理解者かつ補佐というポジション。髪型がダイナミックなのが印象的。

キング牧師は3番手の轟悠さん。私が知ってるキング牧師はただのおっさんなんだけど、ここでは顔がシュッとしていて無駄にかっこいい。

4番手の香寿たつきさんは主人公を監視するフーバー長官。この作品で唯一の悪役なのでおいしい役と言える。こっちはあの捨てられた子犬のようなルドルフを知っているからフーバー長官を見た時「ルドルフ〜わっるいなあ〜」と思ってしまったwまたこの悪役演技がハマっててなぜかニヤニヤしてしまった。

以上のように脚本は頂けない所もあるけどそんなに退屈せずに最後まで観ちゃいましたw一応フォローをしておくと、ラスト近く暗殺を示唆するようなケネディの夢のシーンがカオスでちょっと面白かった。でもこれだけキャストが揃ってないとまとまらないだろうな。

次は「バロック千一夜」。私ショーの見方って分からなくて(いやただ無心に見りゃいいんだろうけど)楽しめるかどうか不安だったけれど、北翔さんの「THE ENTERTAINER!」が楽しめたので安心して見られました。タイトルからして「アラビアなのになぜバロック?」と意味不明なんですが、多国籍と言うか無国籍と言うか、中東だけでなくロココやアフリカやなぜか料理の鉄人まで出てきて(そういやあの番組が流行った頃だっけ)盛り沢山なこと。

こういう表現が適切か分からないけど第一印象は「紅白の小林幸子みたいな舞台装置だな」だった。真ん中にでかいセットがでーん!とあって上に人が立ってるんですよ。これ生で見たら圧倒されそう。しかし更にすごいのは芸達者が多いので目が離せなくなること。「あれ?この人下手?」がない。轟さんとダンス踊ってる娘役誰かな〜って思ったらトップの一路さんじゃないですか!トップがショーでも女役やることってあるんだ。器用だな〜。

中でも圧巻なのは後半一路さんが歌う「オンブラマイフ」。すげーー!これ聴くためだけにチケット取っても惜しくないと思う程圧倒される!私この曲好きだから尚更嬉しかった。私の拙い語彙ではこの素晴らしさは言い尽くせないので実際聴いて欲しいくらい!その前段階の香寿さんと星奈優里さんのダンスもいいんですよ。

その後に来るのは一路さんによるG線上のアリア。このためだけにチケット取っても(以下略)。そして一路さんと花總さん、星奈さんによる3人でのダンス。2人じゃなくて3人というのが珍しいけど面白い。「オンブラマイフ」からここへの流れは何度でも観たくなる(その間のアフリカぽいのがちと謎だけどw)。

雪組だけでなくて同時期の他の組の動画も見たんだけど、この時代に宝塚に出会ってたら私ファンになってたかも。一路さんだけでなく他のスターさんにも言えるけど今よりスケールが大きく見えるんだよね。ただ最後に一言言わせてもらうと、この画質で「エリザベート」残せなかったかなあ?NHKが収録した画質がとてもいいんですよ。こんな鮮明にできるんだったら「エリザベート」の方こそ…とつい思ってしまった。

 

 

 

 

“雪組「JFK/バロック千一夜」” への2件の返信

  1. 雑食さん、こんばんは!
    おっしゃる通り、小池先生は原作があるものを演出するのは上手いです。でも、一から作るのは苦手だと、私も思ってます。
    「JFK」は私もかなり前にNHKで観ました。一番は、フーバー長官かな。上手いです、タータン(香寿さん)「バロック千一夜」はたぶんビデオに録画してあると思うのですが、オンブラマイフの記憶がない!ということは観てないかも(^_^;) 私も大好きなんですよ、オンブラマイフ〜🎵
    宝塚は、確かに演者さんが、しょうもない脚本(失礼!)を舞台で何とか作品にしてる、みたいなのは沢山ありますよ〜。

    1. MKさんいつもコメントありがとうございます。
      香寿さんのフーバー長官いいですよね!歌やダンスだけでなく演技もうまいなあ〜と感心しました。今でも多くの舞台で活躍されてるのが納得です。
      演者でもってる舞台というと、自分としては「この人達にもっといい脚本を与えてよ〜!」って思っちゃいます。それを考えるとこの時代の雪組が「エリザベート」に出会えて本当に良かったと思います。こっちも小池氏ですけどねw

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