「紅はこべ」の読書感想文

すっかり観劇感想ブログになってしまい本来の趣旨からどんどん離れつつある今日この頃。本当はこっちも紅はこべの話題もっと出したいんですよ!海外で映画化とかドラマ化してくれればいくらでも記事が書けるのに、確実性のあるコンテンツのリメイクばっかり!「紅はこべの魅力を広める会」自称会長としてはサー・パーシー・ブレイクニーの良さをもっと伝えなければ!と常に思うのだけどなかなかネタが見つからず。

そんなある日、拙ブログに「紅はこべ、読書感想文」で検索してたどり着いた方がいらしたようで。しかも日付が8月26日というのがかわいいじゃないですか。自分も8月31日に本気出してたクチなんですごく共感できる。でも改めて過去記事読み返したら一行も使えそうな事書いてなくて申し訳ないwww だって紅はこべって私の中では娯楽小説よ?「はあ~パーシーかっこええ~」「パーシーとマルグリートのすれ違い切ないっっっ」とか言ってゴロンゴロン悶えながら楽しむ話ですよ?そんな感想学校が求めているはずがないのはさすがの私にも分かります。読書感想文にふさわしい作品じゃないのですよ。同じ理由で最近の子供がハリポタの感想文書くの分からない。あれは親世代に悶える話でしょ(え?違う?)

私は読書感想文というものに全くいい思い出がなくて1行も書けず脂汗ばかり流してました。困った挙句解説の文章パクったりもしたっけ…(遠い目)しかし私も年齢を重ねて多少は経験を積んだので今では読書感想文ぐらい簡単だよ?…と思いたい。そこで、あの頃の嫌な思い出にリベンジしたくなって今更誰も要求してない紅はこべの読書感想文を書いてみることにしました。原稿用紙5枚つまり2000字という設定で行きますね。本来改行して一文字空けるところは読みやすさを優先して一行空け(いつものブログの書き方と同じ)にします。あと最後に読書感想文のコツと言えば聞こえはいいけど、脂汗流しながら編み出した文字数増やすための姑息な小技を紹介します。

 

 

「紅はこべ」を読んで

 雑食

私は歴史に興味があり、中でもフランス革命が大好きで色々参考文献を見つけては読み漁っていました。きっかけは数年前に「ベルサイユのばら」を従兄弟から借りて、その壮大な世界観と当時の人々の懸命に生きる姿に感銘を受けたことです。「自由、平等、博愛」の理念の元、国の未来のため命をかけて国民が決起して大きな時代のうねりに身を投じたのは歴史的に見ても実に画期的なことでした。それまで贅沢をしてきた傲慢な貴族支配を虐げられてきた平民がひっくり返して自由と人権を勝ち取るというのが私のフランス革命に対するイメージでした。

しかし偶然手に取ったこの「紅はこべ」で描かれるフランス革命は、私が抱いていたイメージと180度異なっていて非常に驚きました。ここでは革命政府側が悪者なのです。平民を虫けらの如く扱ってきたはずの貴族が紅はこべという謎の組織によって助けられる話なのです。以下簡単にあらすじを紹介します。

1792年、革命の嵐吹き荒れるフランスでは貴族というだけで捕らえられギロチンにかけられる者が後を絶ちませんでした。そんな中、紅はこべという正体不明の組織が処刑寸前で彼等を助け国外へ逃してやる事件が起きました。唯一分かっているのはリーダーはイギリス人の貴族ということだけ。そこでフランス全権大使のショーヴランはイングランドに渡り、旧知のマルグリートに紅はこべ捜索のための協力を仰ぎます。マルグリートはフランスの有名な女優でしたが、イングランドの裕福な貴族パーシー・ブレイクニーと結婚してロンドンに移住したのでした。マルグリートはヨーロッパ一の聡明な女性と謳われ、洒落者で頭空っぽのパーシーと結婚したことは社交界に大きな衝撃を与えました。しかしパーシーとはある過去の事件が原因で不仲でいます。マルグリートはショーヴランの申し出を一旦は断りますが兄のアルマンが紅はこべの一味と判明し、紅はこべの命か兄の命かの選択を迫られ、やむなくショーヴランの手助けをせざるを得なくなります。

この作品の面白いところは、紅はこべは誰なのかという謎解き、紅はこべの活躍ぶり、パーシーとマルグリート夫妻の愛の修復という異なるテーマがうまく絡み合っているところです。物語はマルグリート視点で進み、中盤で紅はこべの正体が明らかになります。そこから舞台はイングランドからフランスへ移り物語がダイナミックに転換していくのです。

「紅はこべ」の作者はハンガリー出身のバロネス・オルツィという女流作家です。バロネスというのは「Baron」(男爵)の女性形で女男爵という意味、男爵夫人ではありません。彼女はこの称号を気に入り自ら名乗っていたとのこと。もともと由緒正しい貴族でしたが、幼少期に小作人によって蜂起が起き一家は土地を追われヨーロッパ中を転々と移り住むことになります。

私は彼女のこの体験が「紅はこべ」の世界観に大きく関係しているような気がします。貴族というだけで故郷を離れなければならなかった彼女は紅はこべが救出する貴族と重ならないでしょうか?もしかしたら彼女は紅はこべのような格好いいヒーローが自分達を助けに来ると夢見ていて、それがこの作品が生まれる原動力になったのかもしれません。

私がこの作品を評価するところは、紅はこべは決して暴力に訴えないということです。その代わり知恵を使って敵を出し抜いたり難局を切り開いたりします。これは作者の非暴力主義というポリシーによるものではないでしょうか。マルグリートは元々共和主義者で革命に賛同していましたが、革命政府の行き過ぎた政策から距離を置いているという設定です。かと言って貴族を絶対的な善人として描いているわけではありません。例えば、平民が貴族に恋をしたという理由だけでマルマンがひどい暴行を受けたというエピソードが出てきます。フランス革命が起きる下地を紹介しつつ革命政府の横暴も描き、反動として現れたのが紅はこべという図式が分かりやすく説明されています。この辺のバランス感覚は現代の価値観(20世紀始めの作品ですが)に基づいていると思います。

「紅はこべ」は1905年に刊行されました。それがヒットして次々と続編が書かれるようになりました。最後の作品は1940年に書かれ、この時は既に第二次世界大戦の時代になっていました。当時ヨーロッパではナチスドイツの台頭に連合国側が抵抗していました。そこで敵方に捕らえられていた人々を救い出した作戦に紅はこべに因んだ名前が付けられたそうです。「紅はこべ」は当時の人々に大きな影響を与え、また心の支えになっていたのが分かるエピソードと言えると思います。

私はこの作品がきっかけでフランス革命に対する認識が少し変わりました。物事には二面性があり絶対的な善とか悪というものは存在しない。それはあらゆる物に対して言えるのではないでしょうか。「紅はこべ」は私にそれを教えてくれました。

 

 

ふーっ。疲れた!!やっぱり読書感想文は嫌だー!たったこれだけなのにちょっと書いてはネタに詰まって休み、を繰り返し何日もかかった。それなのに読み返したら文庫本の解説みたいだ…

まあいいや。それではこれから偉そうに解説をしまーす。まず文体は敬体です!これは一文字でも原稿用紙のマス目を埋めるためです。大したことないと思われるかもしれませんが千里の道も一歩から!です、多分。

導入部ですがフランス革命に興味がある云々は作り話です!歴史も別に興味ない!ベルばらもよく知らない!そんな従兄弟もいない!本当はラジオドラマから「紅はこべ」を知ったけど読書感想文的にはショボいエピソードなので話を盛りました。その方が原稿用紙のマス目も以下略。

次はあらすじ紹介。あらすじ大事!ここでかなり文字数稼げるから!バランス悪くならない程度に詳しく書きましょう。自画自賛になるけどパーシー=紅はこべってネタバレしてないのすごくないですか?勘のいい人は分かるだろうけど。

次は作者紹介です。はーいここで「wikiパクリコーナー」でーす。でも今のご時世、敵(教師)も目を光らせているので丸パクリはするなよ?バレた後が怖いぞ。内容はパクリつつ文章は自分で考えましょう。

やっとここで考察コーナーになります。2000文字も自分の考えなんて書けないけどあらすじやwiki情報で水増しすればそんなに考察しなくても形になります!この作文でも考察部分は500字もないんでは?つまり「一から自分の頭で考えなくていい」んです。読書感想文のテンプレートに沿って空欄を埋めるうちに粗方できるんです。テンプレートとは論理の進め方のことでこれが分かってなかったから学生の頃苦労したんだよね。誰も教えてくれなかったから仕方ないね。

「wikiパクリコーナー」その2です。ただし英語のwikiから取りました。高校程度の英語力があれば大まかには読めるでしょう。英語版の方が出典元が割れにくいのでオススメ。

最後に「こんな知見を得られた」コーナー。私これが本当嫌いで。面白かったーでいいじゃんね!パーシーに萌えてそれが明日の生きる活力になれば結構じゃん!本を読んで何かためになるものを得なければならないって相当のプレッシャーですよ。だから読書感想文人気ないんだよ。でもまあこれで締めないと締まらない気がするし2000文字ちょっと超えたけどまあいいや。

このブログを読んでる人は私と同様既に読書感想文とは縁が切れた方が殆どだと思うけど、たまに血迷って検索で迷い込んでしまう学生さんに断っておきます。これは学生時代読書感想文が一行も書けなかったアホが何とか文字数稼ぐためにひねり出したアイデアなので真に受けないでね。真面目に書きたいならばもっと的確なアドバイスをくれる人のところへ行ってください。約束だよ!

“「紅はこべ」の読書感想文” への2件の返信

  1. こんにちは、お久しぶりです。いつも紅はこべネタだけコメントしてすみません。
    読書感想文読ませていただきました。さすが、「紅はこべの魅力を広める会」会長!私の知らない内容もあったので(ナチスのくだり)、雑食さんは映画や舞台など知識が豊富ですし、もっと色々な話を聞きたいです。
    私も学生時代に戻れるなら、紅はこべで卒論書きたかったなーと思います。当時日文専攻でしたが、英文も勉強していたら、続編読むのも楽だったろうに・・・。ちなみに今は未だelusive~ですが、やっと「行進」の場面まできました。けっこう仏語も多く出てきますね!
    過去記事で雑食さんが紹介していた、レスリー・ハワード版を見ました。字幕付だったのでよかったです。色々と参考にさせてもらっています。そして次なる紅はこべネタを楽しみにしています。・・・広める会、入会希望です!

    1. どうぞどうぞ!会員1人で寂しいのでいつでもウェルカムですw!こちらこそ紅はこべの記事増やしたいけど思うようにできずすいません。コメント下さるととても励みになるのでどうぞこれからもよろしくお願い致します。
      レスリー・ハワードと言えば、紅はこべに出演した縁なのか、「Pimpernel Smith」という反ナチスのプロパガンダ映画を製作して自ら主演もしているんです。これは表向きは大学教授の男が教え子たちと協力してナチスに捕えられた化学者(だったかな?)を救出するという内容なのです。YouTubeにあるので途中まで見たのですが、せめて英語字幕がないときつくて中途半端になっています。いつかこれについても記事にしたいですが紅はこべほど面白くな…げふんげふん、とにかくいつになるか分かりませんがお待ち下さいね。紅はこべとは関係ないですが、近々レスリー・ハワードにちょこっと関係ある話題について書く予定です。

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