花組「オーシャンズ11」感想

WOWOWで2013年花組「オーシャンズ11」をやっていたので録画視聴しました。当時専科だった北翔海莉さんが出ているというのもあったけど副音声で当時のトップスター蘭寿とむさんと2人で解説してるんですよね。こんなの見るに決まってるやん!この企画考えた人優秀!WOWOWグッジョブ!です。

副音声解説がとにかく気になるのでお芝居未見なのにいきなり副音声付きで見ました。なので内容はざっくりとしか分からなかったw ウッズ夫妻なぜ捕まってるの?とか、立ち退き迫られてるおじさんいきなり奮起してカジノ行くのなぜ?とかその辺いい加減ですw でも深く考えなくても楽しめるお話でよかった。典型的な「こまけえことはいいんだよ」作品。元がハリウッド映画だからかな?視覚的にとてもゴージャスでスーツをばっちり決めたナイスガイとセクシー美女が惜しげもなくわんさか出てきてとにかく踊る!歌う!それに手品とかイリュージョンとかヨーヨーとか一輪車とか楽しいパフォーマンスが目白押し。皆さんことも無さげにやってるけど裏では練習大変だったと思う。それに音楽もいいですね。観劇帰りに口ずさみたくなるナンバーが多いです。役が多くて多くの組子に出番が用意されてるのも座付き作家ならではの配慮でしょう。海外ミュージカルを輸入すると役が少ないのと自分から役に合わせに行かなければならないのが欠点なんですよね。ロココなドレスでなくても宝塚見たなあこれぞエンターテイメント!という気にさせてくれる。やはり小池修一郎ってオリジナルよりも潤色の方がいい仕事しますね。

主役のダニーは当時トップスターだった蘭寿とむさん。OGになってからの北翔さんとの交流を通して知ってはいたけど現役時代の姿を見るのは初めて、今とすっかり違っててびっくりしました。男臭いスターだったんですね!今の宙組の真風さんも男っぽいタイプなので再再演となったのかな?シャツのボタンもギリギリまで開けてるのがまた男らしくてカッコよかった。チラチラッとキザっててオラオラオラーッ!て感じで(語彙が貧しくてすまん…なんと表現したらいいのかあのギラつき)お客さん煽ってますよね。これ前の方で見ててウインクに被弾してたら生きて帰ってこれなそうw 匂い立つような色気とはああいうものなのかしら。豹柄の衣装のデュエットダンスも激しくてよかったです。よくあんなの着こなせるよなー。

ダニーの相棒ラスティが当時専科だった北翔さん。この時期髪の毛結構短くしてて似合ってますね。私は彼女のトップ時代の作品を中心に見てるのでチャラくて軽い役が新鮮でした。男役と言っても色々なタイプがあると今は気付いたのですが、他の人と比べると北翔さんってどこか優しい感じがする。男臭くもないしシャープとも違う、少しウェットさがあってそれが昭和のスターに似ていると言われた所以なのかなと考えました。すごくどうでもいいけどサテンのシャツを着ているせいか少し気になってしまった…その…胸が(ボソッ)。さてこのラスティ2幕で有名なジョンソン先生に化けるじゃないですか。ああこれがかの有名なジョンソン先生かと不思議な感動を覚えましたw 私これよりもっと長いバージョンを見たことあった気がする。お芝居のバランス壊れちゃうんじゃないの?ってくらい長かったから千秋楽だったのかな?周りの人は堪えきれず吹き出してたけど芝居をしなきゃいけない望海ベネディクトが可哀想でしたw ネタの仕込みもさることながら、間の取り方とかうまくて流石だと思う。

悪役ベネディクトは当時花組にいた望海風斗さん。コッテコテの作り込んだ悪役でこれぞこのお芝居に求められている姿だよな!と思いました。表情の作りとか悪そう~で視線がエロくてw常に口の端を歪めているようなキャラ。端正な顔が歪むたびにゾクゾクしてしまうw いいねえ~いいねえ~と心の中でサムズアップしてました。私は最近の望海さんしか知らないから分からないけど副音声で蘭寿さんが「それまで真面目なイメージだっただいもん(望海さん)がこの役で一皮剥けた。20世紀号の役(オスカー)も影響受けているんじゃないかと本人に話したら『そうなんですよ』と言っていた」と話しててそうなんだ~と思いました。それにしてもこのベネディクトもただの悪いヤツではなく子供時代不遇でコンプレックスの塊だし、まだ数作しか観てない私がどうこう言うのおこがましいですが、望海さんって屈折したと言うか身も蓋もない表現すればどこか中二病くさい役得意なのかな(ファンの方怒らないで下さいw)?ジョンソンにやり込められたり最後ダニー達に出し抜かれるところもいいんですよね、やられ役がうまいというか。

ヒロインのテスは蘭乃はなさん。衣装の着こなしがよくて体の線がぴっちり見えるミニスカートも上品に履きこなしていたのが素敵でした。さっきも書いたけどデュエットダンスも激しくて官能的でした。ダンスにも個性がよく出ますね。あとよかったのはダイアナの桜一花さん。つい最近「ふたり阿国」にも出てたけどこんな娘役さんだったんだ!?と驚きました。とってもパワフルでヒロイン食ってたんじゃない?と言うくらい芸達者で存在感がありました。ベネディクトはテスよりもダイアナみたいなタイプの方が相性よかったんじゃない?副音声で「色んなカツラ持ってるよね~」と2人が会話してましたがカツラやアクセは自前ということを知ったのはつい最近のこと。そんなのってあり?チケット代安いと思ってたら本人達に用意させてるのかよ?と少し呆れてしまった。他にも今は出世したスターさん達の若い姿が出てきて興味深かったです。

最後に副音声についての感想。北翔さんが「宙組で一緒だったのがみんな離れ離れになってしまってとても寂しかったけどまたまゆさん(蘭寿さん)と同じ舞台に立てるのが嬉しかった」と何度も述べていたのが印象的でした。私は当時の事は知らないから憶測に過ぎないけど、他の仲間は別の組に異動になったのに対して自分はどこの組にも属さない専科という立場で心細さもひとしおだったのでは。長年一緒に組んできたから呼吸もぴったりで一緒の舞台にいるのが楽しくてしょうがなかったとお互い話していたし、観ている方もそれが伝わって来ました。語り口も飾ったり取り繕った様子がなくしみじみとしてて自然体なので本当に信頼置ける仲間なんだろうなあというのが伝わりました。空気感がいいんですよね。私は宝塚音楽学校の軍隊式の教育も女だらけの空間も全く肌に合わないのでwあの世界に憧れはないですが、多感な時期を一緒に過ごし苦楽を共にしたかけがえのない一生の友ができることは素直に羨ましく思いました。あと名前も出てこない下級生にも言及しているのが好感を持ちました。2人とも優しい先輩だったんだろうなあ。本編終了後も2人のインタビューがたっぷり聞けて満足満足。いいものを見させてもらいました。

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