「Summer Night’s Dream」感想後編

思いの外文章が長くなったので2つに分けます。今回は2幕から。2幕冒頭は「ふたり阿国」の曲を立て続けに3つもやってくれました。最初がアンサンブルの方達のパフォーマンス。その次に阿国がキリストを讃えるゴスペル、あの曲とても気に入っていたのでまた生で聴けてテンションup。衣装もお芝居そのまま。白い着物に水色の帯、マリアベールを被って北翔さんが花道から登場します(そういやふたり阿国では花道なかったですね)。明治座の企画なのでふたり阿国を扱うのは最初から決まっていたのでしょう。それなら同じ衣装が使えたのも納得。そしてお丹役が妃海さんだったのですよ!これがとてもよくて。歌がとても伸びやかで目力もすごくて「これが狼の目というやつか!」と思いましたw みちふうでやったらまた違うものができたかも。ふたり阿国に参加してない出演者の方も「いざやかぶかん」では衣装を着けてコーラスに参加してくれてあざっす!あざっす!と心の中でお礼言ってましたw 贅沢だなあ。出演者以外のファンにはこのコーナー自体ナンジャラホイだったでしょうけど。言い忘れたけど一曲毎に衣装が変わっててそういう所からも結構予算がかかってるのが伺えました。

ここで雅原さんだけ残って「Big Spender」という曲を歌います。雅原さんは和装なんですがこふめの衣装ではなく胸元が大きく開いたかなり際どい衣装だったんですね。元は「スウィートチャリティ Sweet Charity」というBWミュージカルの曲でストリッパーの女性が金持ちそうな男性に向けて「いいことしましょ」と誘う内容らしい。これをクイーンがライブでよくカバーしており、フレディ・マーキュリーが歌いながら着物を脱ぐパフォーマンスをしていたとのこと。だからセクシーな和装姿だったのか!!この記事書くために調べて初めて「なんでこふめの衣装じゃなかったの?」「なんでふたり阿国とディズニーの間にこの曲が入ってるの?」「なんで洋楽なのに和装なの?」という謎が解けました!!曲だけは聴き覚えあったけど(CMで使われてるからね)こんな深い背景があったとは。

お次はディズニー特集。ディズニー映画も確かにミュージカルだし間違っちゃいないんですがどこでもディズニーディズニーで正直ベタだなあと思っていたんですよ。でも今回のはなぜかそうは思わなかったです。見せ方を工夫してるからかな?夢夢しい世界観なんだからストンとしたロングドレスじゃなくフワフワAラインのドレスで歌って欲しいじゃないですか(FNS歌謡祭でも宝塚のディズニーが一番よかった)。妃海さんが水色のプリンセスのようなドレスで「星に願いを」、渡辺さんにエスコートされ2人で「夢はひそかに」を歌っていて「Love&Dream」彷彿とさせるのは言うまでもなくロマンチックでした。雅原さんは中河内さんと「A Whole New World」ここスケッチコーナーじゃないのに北翔さんと玉野さんだったかな?が絨毯に乗って登場していて(もちろん見えないところで小刻みに歩きながら)、雅原さん「なごり雪」歌った時も脇でスケッチやられてたし「笑ってはいけない」を試されてる気がしてならなかったw サカケンさんは美女と野獣の「愛せぬならば」。舞台版だけの曲で1幕最後に歌われるんですよね。昔四季の観たことあるんだけどその時は福井晶一さんがビーストだったなと思い出しました。サカケンさん四季時代にビーストはやらなかったみたいだけど圧倒的な歌唱力。この曲はサカケンさんくらいにパワーがない駄目だないいもん聴かせてもらったわと思ってたら次もまた美女と野獣から。ベルとビーストがそれぞれの恋の芽生えを歌う「Something There」。これがよかったんですよ!誰が北翔さんにプリンセスやらせると思う?「こんな北翔海莉が見たかった」その2。妃海さんと色違いのクリーム色のドレス着てすっかりベルになりきってるんです。それが全然奇をてらった歌い方でなくて、もしかしたら出落ちを狙っていたのかもしれないけど(実際登場時少し笑いが起きていた)私の目には普通にかわええ!かわええ!と映りました。キャラではないかもしれないけど普通に可愛らしかったです(大事な事なので2回言いました)。こういうの照れ隠ししなくてもできるようになったんだねえと謎から目線で感慨深かったです。対するビースト役の東山さんは、これも歌声は少しもふざけてないんだけど見た目はホスト感120%のビースト。誰がホストやれって言った!と突っ込み入れたくなりましたw 一輪の薔薇持ってたし。耳からの情報と目からの情報にギャップありすぎて混乱しましたw 

まだディズニーコーナー続くけど長くなったので1行空けますね。次は個人的ハイライトと言うべき「Let It Go」。みちふうデュエットをここに持ってきたのです!「こんな北翔海莉が見たかった」その3。しかもそれぞれ色違いのドレスで!男役と娘役ではない、2人の女優として、元ネタに照らし合わせればまるで姉妹のように対峙してました。2人の絆は変わらないけど年月を経ての関係性の変化に感激した人も多かったのではないでしょうか、特にみちふう時代を知ってる人なら尚更。私も北翔さんが男役から女優に転身するまでの葛藤を垣間見てるので歌詞の意味も相まって何だか感慨深かったです(日本語歌詞は原語とニュアンスが異なるのは知ってますがそれは置いといて)。妃海さんも退団してからも研鑽を積んで更に進化した姿を見せてくれて胸が熱くなりました。それで「Love&Dream」でもやったレリゴーを持って来るんだから憎いよなあ。もちろん歌もよかった(よくなけりゃここまで感動しません)。声の相性もいいですね。北翔さんがレリゴー歌うなんて。ソロコンサートでもやって欲しいなあ。

ここでまたミュージカルコーナーです。いちいち「次の曲は◯◯です」とアナウンスしないの流れが途切れなくて却ってよかったです。「セトリ知りたきゃパンフ買え、安いから」というメッセージを受信して買っちゃいましたw さて、サカケンさんが「ミス・サイゴン」から「ブイドイ」、実際に舞台でジョンを演っていたらしく、十八番みたいです。「ミス・サイゴン」についても前に感想書きましたが、このジョンという男1幕と2幕で豹変するんですね。戦争中は女買いまくりヒャッハーだったのが戦後になって「我々は父の顔も知らぬ多くの混血児を残してしまった。贖罪せねば」と聖人君子モードに大変身。余りの変わり身の早さに「いい気なもんよねー」と鼻白んでしまうんですがサカケンさんの歌がうますぎて説得力あって思わず感動する方向にコロッとなりそうなのが怖いw 歌の力って侮れないですねw 次に渡辺さんが「1789」より「武器を取れ」。この作品私は観たことないんですが照明で三色旗が表現されていたことと歌詞の内容からフランス革命ものだなというのは容易に見当が付きました。それで当たりを付けて調べたらビンゴ。渡辺さんはデムーランの役でこの曲を歌っていたみたいです。民衆を鼓舞するカリスマ性みたいなものが表現されていて聴き入ってしまいました。中河内さんは「ひとかけらの勇気」、好きな曲なのでやった~と嬉しくなりました。この曲があることでスカピンは宝塚版の方が優れていると思うのは私だけ?東山さんは「ジキル&ハイド」より「This Is The Moment」。英語で歌ってました。東山さんまた面目躍如できてよかったw 今度「ミス・サイゴン」のエンジニア役をやるらしいですけど、演目自体は苦手だけどw東山さん目当てに観たくなってしまいました。

ここからまたぐっと濃くなってジャズに移ります。玉野さんだったかな?が「Satin Doll」というジャズのスタンダードナンバーを歌う間東山さんがバックで踊ってて、これがめちゃ格好よかったです。次に雅原さんが「Someone To Watch Over Me」をしっとりと歌い上げていました。ガーシュウィンの曲らしいけど真っ先に「あ、野村不動産だ」と思ってしまったw 「Crazy For you」にも使われてるそうですね。そして妃海さんが赤いセクシーな衣装で「The Lady Is A Tramp」。舞台の中央に階段があるんですが、歌の後半で北翔さんがそこの途中で待ってる訳ですよ。そして妃海さんが終わると「Take Five」の流れ。これ「The Entertainer!」と同じじゃないですか!歌い手が妃海さんに変わっただけで、曲も階段の途中で待つ演出も同じ!いやあテンション上がりました~。しかしすごいのはここからでただ歌うだけじゃないんです。間奏で玉野さんと一緒にタップしたり、北翔さんのスキャットに呼応するかのように玉野さんがタップしたりとまるっきり同じことはしまへんで~という熱い思いを感じ取りました。観客の心をくすぐりつつ新しい物を見せるというのが粋だなと思いました。最後は玉野さんの「Mr.Bojangles」という曲。これも初耳だったので後で背景を調べてみました。留置所で出会った年老いたタップダンサーが自分の人生を語り軽やかに踊ってみせる、どこからか「ミスター・ボージャングルズ、踊っておくれ」と頼む声がするという内容。最初は椅子に座ったままの状態で歌い、間奏で長い尺を取ってひたすら高速タップを繰り出すのですよ。これがまーカッコよくて4回くらい拍手が起きてました。「2日限りだから惜しみなくスキル放出するぜ!」という感じでした。それが終わると膝を押さえながら椅子に戻り歌を続けるのですが、歌詞の内容を知った今ならこういうことだったのか!と合点が行くのでもう一度見てみたい。でも一回だけでも脳に焼きつくくらいの濃いパフォマーンスだったし、今でも何度も脳内で反芻してます。

今回は軽い気持ちで始めたら「あれも書きたい!これも書きたい!」となって結果的に骨の折れる作業になりましたw でも初めて聴く曲を調べて新しい発見ができて嬉しくなるという副産物があり、コンサートの記憶も呼び起こされて楽しいひと時でした。また同じメンバーで(というのは現実的には不可能だろうけど100歩譲って似たメンバーでw)同じような企画のコンサート見てみたいです。北翔さんの新たな一面が見られたのも大きな収穫でした。いつかミュージカル曲縛りのソロコンサートやって欲しい!!それには洋物ミュージカルに出なきゃね(結局いつもと同じ結論)!!

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