さちみりほをひたすら推す その1

これを書いてる20203現在、巷は新型コロナウイルスによる肺炎騒ぎで外出もロクにできません!私の心の支えの観劇も次々と自粛に追い込まれ、チケット取ったあの演目も中止になるかもてな状況で何を心の糧にして生きればいいんだ……(ピコーン)そんな時は家で読書すればいいじゃない!という訳で今回は現在一押しの漫画家さんの作品をレビューします!

皆さんハーレクインってご存知ですか?アメリカやイギリスで親しまれている必ずハッピーエンドになる男女のロマンス小説です、ってこんな定義でいいのかな?日本には既に少女漫画がその位置にありますが、英米発祥のハーレクインを日本で漫画化したものもあるんです。それがなんで今まで食わず嫌いしてたんだバカバカ!ってくらい面白くて。元の作品から大胆にアレンジしてあって最早別物?というのも少なくないけど、その方がむしろ面白いかも日本人好みというだけでなく展開や心情の移り変わりが自然になっているのですよ。この辺日本の漫画家さんの底力だと思います。えっちいイメージもあるかもしれませんがそんなことはなくて、どちらかと言うと古き良き少女漫画の継承者という感じ。現に私達世代が子供の頃になかよしやりぼんや花ゆめなどで活躍されていた作家さんも多く活躍しています。

その中で私が一押ししたいのはさちみりほ先生!読者レビューが軒並み高評価でこんな人いるの?と思い試しに読んでみたら大正解。結局作家買いしてハーレクイン作品は全部読んでしまった。とにかく巧みなんですよ!ギャグとシリアスの塩梅が丁度よくてキュンキュンも笑いも供給してくれる。構成も上手で最後駆け足展開になることもない。深みのある内容で長編小説や映画のような満足感が得られる。脇役まできちんと生きていて質の良い人間ドラマになっている。エトセトラエトセトラ。とにかく最後は気持ちがふんわり温かくなり感動の涙に包まれ、心がささくれやすい今の時期にぴったり!しかも電子書籍で手に入るから外に出られない今打ってつけです!公式のハーレクインライブラリ以外にもAmazon kindleRenta!などの電子書籍サイトで読めます。無料試し読みもできますよ。今回はいつも以上に営業モードな私ですがw、後悔はさせません。前置き長くなったのでこれから作品ごとの紹介行くよー。

罪深きワルツ

ハーレクインって金持ちヒーローと貧乏ヒロインという組み合わせが多いらしいけどこれは逆、男性の方が貧乏で財産目当ての結婚を狙ってます。と書くと嫌な奴に聞こえるけどめっちゃ健気でいい奴なんです!父の作った借金を背負い大切な人たちのために身を粉にして働いて、冷静に考えるとかなり悲惨な境遇だけどそう見えないのは本人が明るさと愛嬌と優しさを失わないから。莫大な財産を相続した令嬢から形だけの結婚を提案されて承諾するけどいつしか本当に好きになってしまうという話です。彼は腕っ節も性格も弱っちいいわゆる「ヘタレ」なんですが、格好悪い姿を晒しても好きな人を必死で守ったり、相手を思って自分の欲望を抑えたりこれが本当の「強さ」なのではと考える訳であります。だから主人公を最後まで見捨てない人たちがいてその眼差しがまた温かい。ついには氷のレディと言われたヒロインの心も溶かすのです。ただ唯一の不満はタイトル。汎用性ありすぎるネーミングのせいかいつも一回で思い出せない。別れのワルツだっけ?追憶のワルツだっけ?といつも間違えちゃう。元の小説の邦題がそうだから仕方ないのですが。

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c02283

伯爵の花嫁候補

舞踏会で恋人につれなくされ、ずぶ濡れで物陰で泣いていたヘンリエッタは濡れ衣を着せられたデベン伯爵の窮地を救ってあげた。それがきっかけで、容姿にコンプレックスのあるヘンリエッタを伯爵が美しい貴婦人へと変身させることに。「美しさも優雅さも持って生まれたものではなく意識して反復すれば身につけられる」という作中のセリフが印象的ですがマイフェアレディ的な要素は一部で、コンプレックスまみれでも親に愛され生きてきて芯の強いヘンリエッタとハンサムでモテモテでも家族の愛を知らず自分に自信のない伯爵が誤解や衝突を経て結ばれる話がメインです。ヒロインのヘンリエッタは大柄で骨格もごつくて面長で三白眼でと自分を卑下してますが宝塚の男役としては理想的やん!と思ってしまった。だから立ち居振る舞いやメイクでいくらでも化けられるというのはイメージしやすかったです。男役の人が女役演じる時のような感じかなーと読んでました。伯爵も素敵だし居候先の親戚も温かいし偏屈な父親の愛もいいんだよね。

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c02619

家なき子へのプロポーズ

さちみ作品はギャグとシリアスが交じったものが多いけどこれはシリアス一辺倒。でもすごくいいんです!一番読み返したかもしれない。絵柄も少し大人びているんですよね。親からの愛を得られなかった男女がお互いの欠落した心を埋めていくかのように本物の愛情を形成していくお話。かつての天才少女ピアニストのノエルが成長と共に人気を失って母親にも捨てられ一人ぼっちになっていたところに、彼女の母親に家庭を滅茶苦茶にされたイーサンが契約結婚を申し込むという設定はとてもハーレクインですが、さちみ先生の手にかかるとこれが文学的な格調すら感じられてめちゃ感動的な作品に生まれ変わるんです!原作の小説も読んだけどすっかり別物!漫画にある印象的なエピソードやセリフ(「幸せを教えてこなかった」や「滑車の中のねずみ」など)はどれも漫画オリジナル。原作ではただ出て来るだけだったイーサンの祖父母や父親も立体的にキャラ立ちしている。そして何より原作では主人公2人がひたすら欲情してるw それをこんな上品で含蓄のある作品にできるなんて天才じゃね?と思いました。

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c02984

熱いバレンタイン

内気で冴えない青年ジャックが女性のペンネームで書いていたロマンス小説が賞に内定して出版のチャンスが。しかし正直に名乗り出る勇気がないため密かに想いを寄せる昔馴染みのクリスタに身代わりを頼み、2人は出版社のあるニューヨークへ。クリスタはジャックになりすましてプロモーション活動を続けるが…というお話。バレンタインというのはペンネームの名前なので別に214日とは関係ありませんw 2人ともお互いをよく理解しているのにすれ違いを起こしてうまく事が運ばないその過程がキュンキュンするのです。気持ちの揺れや移り変わりが丁寧な作品はミステリーに匹敵するほどのワクワクドキドキ感をもたらしてくれます。ジャックは穏やかで優しいけど自分から告白するなんてとてもできないヘタレw でも一世一代の告白は胸を打ちます。「なんならそのスープだって僕が温めたっていい」なんてグッと来るな〜原作読んでないから知らんけどここはさちみ先生の創作な気がする。その後のクリスタの「先に言っとくけど答えはイエスだから」もかなり男前で好きw

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c01735

1回だけの記事のはずだったんですけど絞り切れないのでその2に続きます!

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