さちみりほをひたすら推す その2

一回きりの企画のはずが長くなったので分けました。今回は2回目。だってみんないいから絞りきれないんだもーん!ここで紹介しきれなかった作品も食わず嫌いせずに読んでみて!確かにハーレクイン全体で言うと、お決まりの設定やぶっとんだ展開もなきにしもあらずなんで避けたくなる気持ちも分からないんではないんですね。お決まりの設定と言うと、ギリシャの大富豪とかCEOとか社長とかシーク(中東の王子)とか契約結婚とかヒロインは貧乏で恵まれないとか…しかしその中で創意工夫に富んだ作品も少なくないし、もちろん定型から外れたものも沢山あるし一緒くたにはできない多様性があります。ハッピーエンドで読後感が幸せならば何でもありです、っていっちょ噛みしただけの私が知った風な口きいていいのかな?とにかくその中でもさちみ先生の作品は傑作揃いなんでお勧め!前にも書いたけど漫画化した作品の方が面白いものも少なくありません。他の作家さんももちろん素敵なのでぜひ読んで!と営業モード全開のまま紹介いきまーす。

子爵に片思い

本当にこれはよくできている!ってどれもだけどw コメディもロマンスもアクションもミステリーもあってスピーディーな展開と駆け足感のないバランスよい構成。恩人の無念の死の謎を追うため男装してロンドンにやって来たジョージアナは偶然容疑者の1人であるフィンチャム子爵を助ける。女性であることを密かに見破った子爵は「面白い奴め」と自分の屋敷に小姓として働かせることに。展開が早いのに駆け足にならないって何気にすごいことですよ(大事なことなので2回言いました)。最初の設定だけだと「んな偶然ないだろ!」と言いたくなるけど話運びが巧みなのでちっとも気にならない。「次はどうなるの?」とページをめくってるうちにラストになります。子爵の振り回されぶりが面白くて笑ってしまうし(「お邪魔しまっす」は名シーンw)、脇役も皆個性的でわちゃわちゃして楽しい。ただこれもタイトル微妙に合ってないような。子爵も最初の方からメロメロになってるしなあ。

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c03902

雨上がりの告白

両親が亡くなり弟や妹の面倒を見ながら身を粉にして働くぽっちゃり体型の看護師ジェンマがイケメンのオランダ人医師ロスと出会いという話。太った体型へのコンプレックスが強い余り自分の気持ちに素直になれないのも、そのために手近な誘惑に流されそうになるのも分かる。英語の諺に「美は主観的なもの」というのがあるけどジェンマが正にそれで、典型的なヒロイン顔ではないのに気配りができて朗らかな姿を見るうちにだんだんと可愛く見えてくる。それが絵でも表現されています。だから別に身体改造しなくてもハッピーエンドだったのが本当によかった。ただあんなイケメン紳士が38歳まで残っているはずがないそれを言ったらおしまいかげふんげふん。ところで原作者のベティ・ニールズという人の書く小説はヒーローがオランダ人の医師でヒロインは看護師(もしくは人のお世話をする仕事)というのがお決まりらしくて、決まったシチュエーションで何冊も本を出す作家がいるんだ!?ということに驚きかつ笑ってしまいましたw そして読者も「はいはいいつものベティね」と思いつつ付き合っている関係性いいねw

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c03229

片恋にさよならを

さちみ作品の特徴として赤子の描写に力を入れているというのがあります。ここに出てくるエマちゃんがほっぺぷくぷくでかわええ!育児漫画以外で背中スイッチが登場する作品なんて他に知らないぞw チョコレート会社の堅物社長イーサンが親友の忘れ形見の赤ん坊を引き取るのですが、実の親でもキエェェ〜〜!となる夜泣き真っ盛りの赤ちゃんをオロオロしながらも不平不満言わず面倒見るなんて何ていい奴なんだ!………5年も秘書として側にいたヒロインのセイディに告白もできないヘタレだけどw 主人公を取り巻く人たちも何だかんだありつつみんないい人で悪人が登場しない。会社のセキュリティに一抹の不安があるも親族経営だと案外こんなものかもなと思ったり。笑えて笑えて最後ふわっと幸せになれるチョコのように甘い作品です。パリッとしたスーツの上に抱っこ紐で赤ん坊を抱えた姿で告白しに来たり、感動的なシーンにも関わらず赤ん坊はネックレスをしゃぶっていたり、最後みんな集まって(亡くなった親友夫妻まで)主人公達を祝福してるシーンがお気に入り。あったかーい!

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c04317

疎遠の妻、もしくは秘密の愛人

これはギリギリの綱渡りのような作品ですね。結婚後間もなく3年も帰ってこない夫を妻が追うのですけど、「他の男に乗り換えちゃいなよ」となりそうでならない絶妙なバランス。こんな設定でムカムカせず感動的な作品に仕上げたセンスに脱帽です。ヒロインエミリーの献身がとにかく胸を打つのですよ。こんなできた人現実にいる?!愛人に扮する時ですら気品を失っていなくて○○○○○○○○○になるのも分かるよねー。最後まで読んだ後、ある登場人物に注目しながらもう一回読むと表情一つでも意味ありげに見えてしまう本当はもっと語りたいけどネタバレになるので何も言えないっ。ラストの漫画オリジナルというあるキャラへの救済シーン含め無駄なところがないいい作品です。

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c03343

忘れえぬ初恋

キャスリンが9歳の時幼馴染みで許嫁だったディコンが連れ去られた。それから10年の歳月が過ぎ、彼の帰りをひたすら待ち続けるキャスリンにディコンと思しき奴隷がベネチアで救出されたとの報が届いた。ベネチアに行ったキャスリンはディコンを助けたという海運王ロレンツォ・サントリーニと出会い始めの方で大体の見当は付いてしまうんですよ。でもここからどう読ませるかが腕の見せ所と言うか、とにかく退屈させない。ロレンツォはさちみ先生が最初に手掛けたハーレクイン作品「愛ゆえに」のヒーロー、ローリーを彷彿とさせるビジュアルでとにかくセクシー。さちみヒーローはどれも優雅で気品をたたえた中に憂いを秘めているのが特徴だけど、今回は更に仮面のおまけ付きw!格好良くて惚れ惚れしちゃいます。しかしこの系統のビジュアルのヒーローは肉体的に痛めつけられる宿命でも背負っているのだろうか。過去の壮絶な体験がただの小道具になってしまう作品もある中、これは控えめな描写でも十分胸をえぐられます。だからこそ「私ほど幸福な男はいない」というラストの台詞がグッと来るのです。

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c04157

船上の花嫁

ハーレクインだからというのもあるけど普通ヒーローはイケメン揃い。しかしここに出てくるハリスは三白眼の上顔に大きな傷があるのがコンプレックスで自分から人を寄せ付けないでいる。そんな彼が一念発起してアメリカに渡ろうとしたところ、偶然同じ船に乗る同郷の娘ジェニーと出会い彼女の付き添いをすることになる。ジェニーは「愛があってもお金のない男とは一緒になるな」という母の言いつけを守り顔も見たことのない男の元に嫁ごうとしていた。私含め経験豊富な元少女は「愛があっても貧乏じゃね〜(タバコプカー)」という考えをしがちだから愛さえあれば〜みたいな話には白けてしまうけれど、これがそう感じないのは単にジェニーの相手が嫌な奴とかハリスがいい人というだけでなく、ハリスの有能さが語られるからですね。「この人と一緒になれば最初のうちは苦労してもやがて幸せな家庭を築けるだろうな」という安心感がある。そんな真面目なテーマがある一方でジェニーが「ハリスと一緒になっても働いてくれなかったらどうしよう」と想像する中で、外国が舞台なのに一升瓶を抱えながらクダを巻くハリスの姿が描かれててこういうとこ笑っちゃうw

https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c01967

その1はこちら

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