グラナダホームズ感想 #21〜#26

しばらく放置していたグラナダホームズ感想。原稿自体はだいぶ前に書いたんですが編集が意外に面倒くさくて…特にスクショした画像を入れる作業。でも観劇は封印されてるし(血涙)ブログのネタもないのでここでupします。この続きもあるんだけどまた後日。

#21悪魔の足

ベーカー街を離れホームズの休養先で起こる事件。屋外ロケが多いけど寒そうだなあ。でもこれ春先の話なんですよね。「なぜ昨夜は蒸し暑かったのに暖炉に火を入れた?」という台詞もあるくらい(そして事件の重要な手がかりだったりする)。まだ日差しも弱そうだし冬っぽいけれど。陰気な荒野が広がるコーンウォールの風景は正に原作の描写通りでした。この回からホームズの髪の毛が短くなってるんだけど、躁うつ病だったジェレミーがうつ病相の時に余りの辛さに発作的に自分で切ったというエピソードを最近知って心が痛みました。それでもホームズとしての役作りは完璧でカッコいいことには変わりないのはさすが。彼がこの役に全身全霊で取り組んでいたのが分かります。この回でホームズは注射と決別するのも注目ポイント。その直前でワトソンが「死は常に我々と隣り合わせだ」と言うシーンがあってその時の表情がこれまでにないくらい厳しいんです。何か色々深読みしたくなってしまいました。しっかしジェレミーの精神状態を思うとこの話ちょっとキツくない?特に◯◯のシーンいくら演技とは言えしんどかったんじゃないかと思ってしまいます。原作では普段ホームズが見せない思いやりに感動してワトソンが「君を助けるのが私の一番の喜びであり名誉だ」と言うんですがそのシーン省かれていたのだけが不満。でも「せっかく休養に来たのに事件の話を持ってくるなよ。ホームズが休めないじゃないか」という迷惑そうなワトソンの表情が拝めたのはよかったです。ホームズ絶対守るマンのワトソンが頼もしい。

#22銀星号事件

現代なら競走馬の名前はそのまま「シルバーブレイズ」と訳されそうだなと思った今回のお話。ワトソンそれなりに賭け事好きな事が判明。他作品でも「軍人年金の半分を使ってる」という記述なかったっけ(でもギャンブル弱そうなイメージ)。死者も出るんだけどそんなに重苦しい気持ちにならずにさらっと見られる。復讐とかそんなのばかりじゃ重苦しいからたまにはこういうのもなくちゃね。ロス大佐に「アマチュア風情が」と軽く見られてプライドを傷つけられたホームズが一杯食わすのが爽快感あるんですよね。あと「メェェ」がとにかくかわいいの!視線を下に落として少しはにかみながら言うの!ホームズが羊の鳴き真似するとか誰が思うよ!?ご褒美だよ!とにかくこれも荒野を歩く歩く。このシーズンはベイカー街を離れた話が多い印象。

#23ウィステリア荘

私立探偵ものに出てくる警察は例外なく無能なんですがこの話に出てくるベインズ警部は唯一ホームズとタメを張れるくらいの有能さで、事件そのものよりもこっちの方が印象に残る。ニコニコしてて一見人当たりよさそうだけど食えない感じがするのよね、コロンボと同系統。「ビクトリア刑事 ベインズ」シリーズも見てみたいと思ってしまったw ホームズに「君は出世する」とお墨付きをもらったので先行き明るいでしょう。原作では動物の骨とかちぎられた鳥とか出てくるけどドラマにはなかったです。まあそうだよな。ちょっと荒唐無稽過ぎるし現代から見れば「未開の野蛮人」という偏見まみれだもんな。ドイルの記述は植民地時代の偏見と差別バリバリな記述多いけど100年以上も前だから仕方ないと思うんです。しかしメインテーマは真っ当な内容なのにミスリードを誘う効果しかない動物の骨エピソードはトンチキなイメージを抱かせるから省いて正解だったと思います。

#24ブルース・パーティントン設計書

ホームズ復活後で私が一番好きな短編キターー!原作の冒頭で霧が深くて窓に油滴が付くという記述を見て19世紀末ロンドンの環境汚染ぶりにドン引きしたんですが、ドラマの中でも霧に覆われる街並みを再現しててしゅごいと思いました。ハドソン夫人に「テーブルの上のティーセットどけて」と言いながら片付けてる最中に「邪魔なんだけど」とあくまでマイペースなホームズさん。ハドソン夫人もその位じゃ動じない辺り手慣れてるw この回の見所は犯人の家に不法侵入しようとホームズに持ちかけられたワトソンが迷った末にOKするところでホームズの顔がぱっと輝くところではないでしょうか。ワトソンの落ち着いた優しい笑みとホームズの普段見せない笑顔がいいんです!原作だと「一瞬優しい表情になった後すぐにいつもの冷淡な顔に戻った」と萌える記述なんですが、ドラマでも十分な見せ場になってます。この話はマイクロフト再登場の回でもあります。原作の「手すりを超えるのを断固として拒否したので玄関を開けてやらなければならなかった」というのがかわいかったのですがドラマでは省略されたのが残念。でも「ギリシャ語通訳」の時に「走るのは苦手なんだ!」という台詞があったからいいか。

#254つの署名

メアリーキター!原作ではメアリーと結婚するワトソンですがこのドラマの設定では事件解決後そのまま別れることに。ホームズと別居すると色々都合悪くなるからそりゃまあそうだよな。メアリーが他の事件に関係する訳でもなし。原作でも整合性付けるの面倒になったのかホームズ復活後あっさり彼女死なせて(明言はされてないがそれとなく示唆されている)存在消しちゃったし。それなら最初からフラグ立てなくて正解だと思います。この作品は原作だと第2作目なんですよね。だからホームズの性格も尖ってる。ドラマではおくすり封印したけど原作は冒頭からコカイン打ってるし。人間の情に疎い冷血推理マシーンぽいところも初期ならではの特徴が残ってます。これに出てくるショルトー兄弟がとにかくキモくてw よくこんな怪演できる俳優さんいるなあと感心しました。ショルトー兄が殺害された時も顔を引きつらせたまま不自然な格好でずっと静止してるんですよね。でもあれ実際は俳優が演技してる訳じゃないですか。ホームズが周りをうろついて捜査する間ピクリともしないのかしらと気になって内容に集中できなかったですw 日本のサスペンスドラマも昔は凄い形相で死んでたりとバラエティ豊かでしたよね。今は目を閉じて横たわってばかりでいつからそうなったんでしょう?後半の汽船チェイスのシーン、ロンドンの街並みも映るんですが昔の建物がそのまま残っていてビクトリア朝設定のドラマでも全然違和感なくていいなーと思いました。日本で100年前のドラマの野外ロケできる街並みなんてどこにあるよ?でも汽船早くないから緊迫した場面のはずなのに迫力はなかったw

#26バスカヴィル家の犬

前回に続き長編第2弾!でも前回の4つの署名の時は髪の毛伸びていたのにこれは伸びきってないので製作順としてはこれが先なのかな?バスカヴィル家当主のヘンリーがアホかわいい!つーかヒロイン枠では?最後ホームズに抱き抱えられてるしこれ姫と騎士の構図だよね?命狙われて単独行動禁止されてるのに好きな女性とデートするし、ホームズに助けられたり。頭頂骨大好きモーティマー医師もいいキャラしてる。初対面の人間しかも偏屈なホームズに頭頂骨触らせてくださいなんて言うとはいい度胸してるw 新ロシア版の「マスグレーブの儀式」のマスグレーブとヘンリーが少しキャラ被りしてるような気がするのは気のせい?偶然?いやあちらの方が頭のネジ何本か外れてますけど。アメリカ帰りで少しチャラい所とか金持ちのボンボンにありがちな気前の良さとか、犯人像も被ってるしあれはあれでしっかりマスグレーブしてるなと思ったらバスカヴィルみもあったとは知らなかった!何気に仕込みすごくない?脚本書いた人相当なホームズ好きだよ!いつの間にか新ロシア版語りになってすまんでもそれだけ面白いってことなのでホント騙されたと思って見てくれ…DVDはないのでAXNミステリーさん再放送よろしく!DVDも出しとくれ!

 

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