ロシアのホームズはすごい

「紅はこべの新しい映像化を求む会」初代会長の私としては、再三ドラマ化や映画化されてきたシャーロック・ホームズ物には「もういいじゃん」以外の感想しかなかった。若くしたり犬にしたり果てには女性化したり、お前らそこまでしてホームズ作りたいのかだったら紅はこb(ry と思っていた。しかし!AXNミステリーでやっている2013年ロシア版シャーロック・ホームズにハマってしまった。最初はなぜロシア?と思ったが、旧ソ連時代に原作に忠実なホームズ作品が作られており、ロシアでは古典と言ってもいいくらい有名らしい(私は未見だがこれもAXNミステリーで見られる)。つまりロシアではホームズが人気コンテンツらしいのだ。それに比べると、今回紹介する2013年バージョンはかなり原作を解体している!でもちゃんとホームズしている!それについてこれから語ろうと思う。

sherlock holmes

まず目を引くのはここに出てくるホームズが我々の知るホームズ像とはかけ離れているということ。何より若い!27才だって!確かにエキセントリックで推理力はすごいけど別に格闘の名人でもないし(むしろ弱っちい)バイオリンも下手くそだしパイプじゃなくて煙草吸ってるしどこか頼りない…でもそれには理由がある。なぜなら、我々が知っているホームズと言うのはワトソンの創作上の人物で、本当はこうなってたんだよというのがこの作品の特徴だからだ!よって原作と違うところは「ワトソンが意図的に改変したところ」と言うことになる。それを踏まえてみるとワトソンがどうしてそこを変えたのかと言う推測もできてなかなか楽しい。

dr. watson

そして非常に重要なのはこの作品の主人公はむしろワトソンということである!ホームズより出しゃばってるという意味ではないよ、ホームズの相棒というのは原作通りだけど、射撃とボクシングの達人で、しばしばホームズを助けたり時には拳でホームズに喝を入れたりかなり頼りになるタフガイである。ホームズが窮地に陥っていると「ワトソン早く助けに来て!」って思ってしまうくらい。性格は内気な方だけど(編集者に自作の小説をこてんぱんに批評されている様は可哀想になる)、軍人としての誇りも内包されていて熱い一面もある。また美女を目にすると傍目に分かるくらい気を取られて「貴方も男ですね」な所はかわいい。因みにここではパイプを使っているのはワトソンの方。

inspector lestrade

もう一人の主要キャラ、レストレード警部。ヒゲが立派でかなり威厳のある顔立ちだ。推理力はそれほどないけど職務に忠実で誇り高く、原作のような間抜けキャラでは決してない。ホームズに対しては常に邪険に扱うが段々と協調する面が出てきて、回を追うごとに関係性が微妙に変化していく。調べてみると旧ソ連時代からの著名な俳優さんが演じているらしくてやっぱりなーって思った。

あと原作と大きく異なるのがハドソン夫人。こちらは若い!なぜワトソン老婦人にしたし。揉め事を持ち込んでくるホームズとワトソンにおかんむりで口やかましく言ってくるが、結局何かと世話を焼いてくれるw占い好きでよく分からないアドバイスもしてくれる。しかし「女の勘です」と言いつつの忠告は大抵当たっている。

ストーリーは前に書いた通りある程度原作を踏襲しているがかなり解体してから再構築している。キャラクターもこれだけ改変しているのにできあがったものをみるとまごうことなきホームズになっているのが不思議。正直言って「え?この場面それでいいの?」な所もある。これも「こまけえことはいいんだよ」系の作品なのだ。しかしそんな疑問を挟む余地を与えないほどストーリーがめまぐるしく展開していくので目が離せない。そして細かに散りばめられた小ネタが効いていてクスッとしてしまう。私BBCのシャーロックより好きかも。だってあちらは闇の巨大組織と戦う世界を救うヒーロー()みたいになってしまってて…ロンドンでこつこつ事件を解決して欲しかったのに…ワトソンもホームズと世間をつなぐ媒介者みたいな存在のはずが、一緒にあちらの世界に行ってしまった感じがするし…公式がBLを煽るのも好きじゃない…ええと、ここはロシア版ホームズの話だった。とにかく今AXNミステリーでやっているので多くの人に見て欲しいと思います!

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