新ロシア版ホームズ #1ベーカー街221B

前回新ロシア版ホームズについて思いの丈をぶつけたが、これからは各エピソード毎に語ろうと思う。推理ドラマなのでネタバレは極力控えるが、もし触れざるを得ないときは改行して目に触れにくいようにします。

今回は第1話「ベーカー街221B」、ホームズとワトソンの出会いから始まる。実は私はこのシリーズを見始めたのは2話からで、第1話はAXNミステリーで今やっている再放送を捕まえて後から見たのだった。それで分かったのが第1話に後のエピソードの伏線が色々提示されていたんだなという事。特に初っ端から2話の伏線が張られていたのには驚いた。で、このプロローグから引き込まれるんですよ。ロシアの民族音楽ぽいテーマ曲に乗せて(イギリスが舞台だろって?こまけえことはいいんだよ!)挿絵のようなイラストを挟みながら、文章が流暢な筆記体ですらすらと書かれていく(ワトソンの小説の原稿という意味なんだろう、ロシア語なので読めないけれど)、そこにワトソンの独白が被ってくる。毎回このパターンなので視聴者は「お、始まるぞ」という心構えがすぐにできて、ロシアン風味な19世紀ビクトリア朝の世界にすんなりと入り込めるという訳だ。

軍医としてアフガニスタンに配属されていたワトソンが負傷してイギリスに戻り、ロンドンにやってきたというのは原作と同じ。都会の新しい生活を夢見て期待に胸を膨らませていたら足元が疎かになり馬糞を踏んだのはご愛嬌(こういった小ネタが利いてるのよね)、ロンドンに着いて早々いきなり事件に巻き込まれてしまう。馬車に男が撥ねられた現場に居合わせたワトソンは医者として倒れた男を助けようとするが「そいつはもうすぐ死ぬ」と変な男に言われる。そう、その変な男こそが我らがホームズ!でもなんの予備知識もなくこのドラマを見た人は彼がホームズだなんて気づくはずがない。ホームズをホームズたらしめる特徴が何一つなく、身なりに気を払わないボサッとした眼鏡の青年にすぎないのだから。ホームズはスコットランドヤードが来る前に勝手に捜査を始めてしまう。そこにやって来たレストレード警部。警部は御者を逮捕しようとするがホームズ曰く犯人は別にいると。結局ワトソンは証人として巻き込まれる形でホームズと共に警察に行くことになる。常識人の語り手が変人に絡まれて巻き込まれるって、これどこかのラノベで見たやつだ。

そういうわけでホームズとワトソンのコンビが誕生する。ホームズは自分の下宿の隣の部屋を紹介してやる。それがベーカー街221Bなのだ。ワトソンはこの隣人の奇妙な生態に触れながらも酒を酌み交わしたりボクシングを教えてやったり(フルボッコにしてやったとも言う、因みにこのシーンは旧ソ連版ホームズのオマージュらしく、旧ソ連版ではホームズがワトソンを負かしたらしい、超有名な旧ホームズを先に見ていたロシア人はこのシーンを見て笑っただろうな)友情を深めていく。風変わりだが成熟した紳士である原作のホームズとは違い、このホームズは未熟な所が多い。何の根拠もないのになぜか腕っぷしに自信があるらしく、無謀にも荒くれ者の輪の中に入り込んだり怪力の男と勝負しようとする。ワトソンに助けられても「捜査の邪魔をするな!」とキレる始末。いや貴方ワトソンが助けてくれなかったらどうなっていたか分からないやん…と思うのだが、つまりこの世界線ではワトソンが小説を面白くするためにホームズをかなり美化したということだな。

第1話は二人の出会いから一つの事件の解決までを追っている。まずは導入と主なキャラクターの紹介といったところ。2話からあの人が出てきたりあいつの影がちらほら見えてきて目が離せない展開に。

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