とうとう最後まで完走できた〜!一個見てないのがあるんですけどね(おい)。この企画始めた時に全部見られるかどうか自信なかったんですが何とか殆どの作品の感想が書けました。不安だった理由は後期になってくると出来にばらつきがあったからなんですね。でも実際見てみたらほんの一部を除いてどれもよかったです。演出面の変化はあれど高いクオリティを維持してました。何よりジェレミー・ブレットのホームズの存在感が抜きん出てて。このグラナダホームズは時代考証の正確さや原作に忠実な丁寧な作りで高い評価を得てますがジェレミー・ブレットがいなかったらここまでではなかったと思います。本当にドラマにとってもジェレミーにとっても幸せな出会いだったと思います。じゃあ最後の感想行きますよー。
#33犯人は二人
ここから3作品は短編を1時間40分に伸ばした特別編。でも普段は50分でやってる訳だから当然ドラマならではの肉付けがある訳ですよ。そのせいで多少ダルいと言うかいつものテンポ良さが失われてるというか。でもこれは面白かった。貴族のスキャンダルを餌に大金をせしめる恐喝王ミルヴァートンとホームズが対決する話ですけど、スキャンダル話で間を持たせるのがよくできてるなあと思う。そして配管工に変装してミルヴァートンの家に潜入するホームズさんですが何と!このドラマ初ホームズのキスシーンがあるんです!原作にも「メイドと婚約したなんて聞いたら驚くだろうね」とあったけどそこから膨らませてキスさせちゃうとは!その瞬間スクショ撮ろうかと思ったけど予想以上にエロかったので自重しましたw あれはジェレミーが悪いw ホームズぽくなかったもの、いや変装してるからホームズに見えなくて正解なのか。とにかくエロスがダダ漏れで非常にけしからん。それはさておき、ここに出てくるミルヴァートンがシドニー・パジェットの挿絵にそっくりでびっくりでした。ここまで似せてくるとはスタッフのこだわりを感じる。あとドラマオリキャラとして出演していたミルヴァートンの協力者、「ブライズヘッドふたたび」(1981年)にも出ていた人でこれもびっくり。しかも役柄ちょっと似ているw このドラマもとてもいいんですけど未ソフト化のため勧めにくい。海外ではすごく有名な作品なのに!最後に、舞踏会の会場他の映画やドラマのロケにも使われているチャッツワースというお屋敷でした。マンチェスターの郊外にあるんだよね、一度行ったことがあるので嬉しかったです。
#34サセックスの吸血鬼
最初に一言言っていいですか?つまらん!!!つまらんよ!!!時間返せ!と言いたい!同じタイトルは原作にもあるけどほぼオリジナルストーリーなんですね。いや、半分くらいまでは面白かったんです、「おっ目が離せないな」と注視してたのに最後尻すぼみというか。いくつかの謎も残ったまま、種明かしも急ぎ足だったし。集団心理の怖さに着目した点はよかったけどそこに着地しちゃう?南米の奥地にロマン求めすぎじゃね?人の心理を操る術って何よ?ホームズ対応が後手後手で何のために来たの?とか。これがホームズシリーズじゃなかったら「最初のうちは面白かったのに勿体ないなー」で済んだのに、やはりコナン・ドイルは偉大ですな、ということを実感した作品でした。
#35未婚の貴族
これだけ見てないんですよね。「花嫁失踪事件」を元にしてるらしいけど前にチラ見した時に余りにも原作と違っていたのと暗くてホラーっぽい演出だったので食指が動かないのです。後期はおどろおどろしい作風が多いのが敬遠しがちな理由になっている。特にこれは前の「サセックスの吸血鬼」がつまらなかったのもあってあんまり見る気になれない。そんな訳で何度めかのGYAO!無料配信にも関わらずまたスルーしてしまった。次こそは!(と言ってるうちはきっと見ないw)
#36三破風館
情報屋のパイクさんこんなに存在感あったっけ?原作読んだけど記憶にない。ドラマの尺を埋めるために肉付けしたんだろうけどドラマではなかなか魅力的な人物になっていてこれなら他の作品にも出て欲しかったなと思わせる存在感。この作品にはファム・ファタールと呼べるような魔性の女が出てくるのだけど、全然それっぽくなーい!私が常々提唱してる「イギリスドラマの法則」ってやつで魔性の女というには素朴すぎる!イギリスって男性の俳優はセクシー揃いなのに女優はどうしてアレなのかな…恋に狂った青年の方が余程美男子です。でもこの青年ちょっと性格ねちっこいよね。原作読んだ時も思ったけど純情を弄ばれて捨てられたのは可哀想だけどちょっと粘着質じゃないか…とにかく遺されたおばあさんが哀れなのよ。
#37瀕死の探偵
原作では最初から死にそうなホームズですがドラマだと最後の15分位しかそのシーンがないのでそんなにハラハラしないというか。牡蠣がどうこうという台詞はあったけど(そりゃ牡蠣だって他の生物に捕食されるから無限増殖できないよね)。「お前みたいなヤブ医者役に立つか」とこれでもかと罵倒するシーンも控えめなの勿体ない。ワトソンがそれでもマジギレしないの見越して敢えてああいう態度取るホームズの鬼畜さがいいのに。それでも友のために東奔西走するワトソンさん健気です。未亡人となった依頼人を優しく労る姿はマジでジェントルマン!でもホームズは「家屋敷取られる?仕方ねーじゃん」と一見冷たそうなのに自分を囮にして犯人おびき出すのだからもっとすごい!究極のツンデレじゃないですか!やっぱりこの2人いいなあ。依頼人のご婦人どこかで見たことあると思ったらBBC「高慢と偏見」のジェーンじゃないですか!話し方に特徴あるからすぐに分かった。ウイッカムにジェーンにそしてこの後の話でガードナー夫人も出るんだよね。結構被ってますね。
#38金縁の鼻眼鏡
いつもの相棒のポジションになぜかワトソンではなくマイクロフトがいる!と思ったら、ワトソンの中の人のスケジュールが合わなかったという事情らしい。そんなことあるんだ!?そういう訳で本来とは違うのであれ程出不精なマイクロフトが事件現場に立ち会うのおかしくね?と思ってしまう。その割には脚本上うまく溶け込ませているんですけどね。それにグラナダ版のマイクロフトは原作よりも愛嬌があって可愛らしいです。だから出てくるとちょっと嬉しかったりする。この話には婦人参政権運動が出てくるんだけど原作にはなかったよね?ミスリードを誘うエピソードなのであってもなくても関係ないのだけど尺を合わせるためにオリジナルエピソード入れたのかしら?後期になってくると原作と違う場面が増えているのが少し気になる…でも少し前の2時間スペシャルほどではないので許容範囲なんですが。殺害現場が目に入って心乱れるメイドのために、ホームズが血痕が染みた場所に自分のマフラーを置いて隠してやる場面が好き。初期の冷徹推理マシーンだと絶対やらなそうだけど後期は微妙にキャラが変わるんですよね。丸くなったというか。
#39 赤い輪
これも原作よりおどろおどろしくて怖かったー。でも秘密結社だから怖くて当然か。舞台関係の人が殺されたのはドラマオリジナルだよね。天井から降りてきてワトソンにシーッとするホームズがかわいくてスクショするのに何度もチャレンジしてしまったw
#40マザランの宝石
これはシャーロック・ホームズが冒頭と最後にちょっとだけ出てきて兄のマイクロフトが活躍するという変わった構成。と言うのもジェレミーが倒れて撮影できなくなったから。このエピソード聞いて見るのが正直辛かったんですが見ましたよ。シャーロックは別撮りだな。ラスト背中見せて去って行くところが何か寂しげなのは次回で最終回だと分かっているからかしら。出不精なマイクロフトがやたら行動的な上に銃の扱いはうまいわ悪党を積極的に追い詰めるわ更には変装(2回も!)までしてるの本来ならあり得ないんどけどこれも元はシャーロックの役割だったんだろう。タイトルは「マザランの宝石」だけど実際は「3人ガリデブ」も含まれている。実際はガリデブ成分多めかも。ドラマオリジナルで2つの事件を繋げた訳ですね。でも「3人ガリデブ」と言えばワトソンが怪我した時にホームズが本気で心配したシーンが萌え萌えなんですよ!「怪我にも価値があった」なんて原作のワトソンが書いてるんですよ!見たかったなあ!
#41ボール箱
ジェレミー・ブレットの死によりシリーズ最終作となってしまった回。初めて見たけどクリスマスに絡めた話に改変してるんですね。だから原作ではなかったホームズとワトソンのキャッキャウフフが見られるのがホントおいしい。クリスマスツリーに拒否反応示して化学実験道具にクリスマスの飾り着けたり、警察のパーティーに渋々行ったり、ワトソンへのプレゼント選ぶホームズなんて何のご褒美ですかwww あと依頼人を演じてるジョアンナ・デイビッド(高慢と偏見のガードナー夫人でもある)は前にも書いたけど「レベッカ」で「わたし」とマキシム・ド・ウィンターとしてジェレミーと共演してるんですよね。「レベッカ」と言えばヒッチコックの映画が有名だけど原作の忠実さと完成度においてこっちの方が上だから多くの人に見て欲しい!なのになぜ円盤ないの…ホームズ最後の作品に彼女と共演したのも何かの縁かな…というのは考え過ぎでしょうがそうであって欲しいと思うファン心。ホームズからワトソンへのクリスマスプレゼントというエピソードももしかしたらジェレミーから我々への最期のプレゼントだったのかな、なんて…おセンチ(死語)になってしまいましたが。この頃は既に満身創痍で心身共に限界の中よくやり遂げたなと思います。全作品ドラマ化できなかったのは無念だっただろうけどシャーロック・ホームズという唯一無二の当たり役に出会えた彼の役者人生は幸せだったのではないでしょうか。この話も切なくて辛い内容なんですが見た後余韻が残って何とも言えない気持ちになります。次女のセーラの人も名演というか怪演というか凄みがある。ラストの「この悲惨・暴力・恐怖の連鎖には何の意味、何の目的があるのだろうか」という台詞が考えさせられます。同じクリスマスでも「青い紅玉」とはうって変わって陰惨だけど何度も見たくなる話ですグラナダホームズのラストがこの話でよかったと思います。