「夢やしきへようこそ」感想

いやーご無沙汰してました。なんとか生きてます。観劇の感想の時は自分の海馬が当てにならんので「忘れないうちに書かなきゃ」と焦ってましたが、本の感想はいつでも書けるのですっかりスルー。誰かに依頼されてる訳でもなし締め切りもなし、となると永遠に書かなくなりますね。最近は専らインプットに専念してて今まで手をつけなかったジャンルもガシガシ開拓してます。コロナのせいで外出しなくなったから読書も増えました。そのお陰でいい出会いもあったけど決してコロナに感謝はしてないからな!とっとと去ね!!

さて今回紹介するのは、以前ここでさちみりほ先生のハーレクイン作品を取り上げましたが、同じさちみ先生の「夢やしきへようこそ」という作品。全13巻プラス続編も4冊あるので結構長いですがいいんですよこれが。最初に読んだ時は感動という言葉では言い尽くせないくらいのクソデカ感情に支配されて数日ぼーっとしてました。色んな思いが巡って処理しきれなかったのです。ジャンルは少女漫画なんだけどその枠に収まらないスケールのお話で(もっとも少女漫画=恋愛漫画ではないですが)内容はどう言ったらいいのかな、那智王というめっちゃ強い鬼のおやびんがいてですね、神代から生きる元々は神様に近い存在なんですが、色々あって(今バッサリ端折った!!)人々から忘れ去られたお化けたちをスカウトして全国を旅して見世物小屋を開くんです。その中で人間の子供を拾って育てたり(さちみ先生おなじみのぷくぷくほっぺの赤子が登場)人間の様々な業(尊さや優しさ残酷さ愚かさetc…)が描かれるんです。同時に明治以降の近代日本がどんな歩みを経たかという足跡を辿るお話でもあって、その模様がファンタジーという手法を通して如実に生き生きと描かれています。

とにかく!この兄(あに)さん(お化けの仲間からこう呼ばれている)がおっとこまえで魅力的なんですが、よく考えたらめっちや鬼畜でドクズでほう・れん・そうができないばかりに思い人と心を通わせられないし、それならばと自分のクローン作って代わりに思いを届けようとするもそんなのうまくいくわけないしクローンにも迷惑かけるし(誰がクローンやってそのキャラからどつかれそうw)、結局一番大事なもの守れないしで、力は強いくせに不器用なお方なんです。もっとも古今東西神様の恋愛事情って有能なのになぜかうまくいかないというのがお約束ですけどね。で、明治の世になって今までの贖罪をするかのようにお化けたちを率いて全国行脚するんですが、贅沢とは言えない暮らしをしている時の方が安らいで見える、特に人間の子供を育てていた時期が一番幸せだったのではなかろうかでもそんなの彼の生きてきた時間からすれば一瞬だよねううっ!もうここで泣いてしまう。ネタバレで恐縮なんですが(未読の方にはなんじゃらほいですが)、私の涙腺刺激ポイントは記憶が戻りかけて苦しむ勇太をぎゅうって抱きしめるところと、空襲に巻き込まれた姉妹にこんなことしかしてやれんでごめんなって言うところです!うわあああん!

とまあ、キャラ視点でこの作品を語ると以上のような感じになるのですが、彼らを狂言回しとして明治から第二次世界大戦までの人の生き様をメインとした話も多いんです。私祖父母世代の人の話聞くの好きなんですが現代と比べるとある意味ドライな価値観にドキッとすることもあります。人の命が軽いけどそれでええのん?とか今ならもっと大騒ぎしてるんじゃないの?とか。もちろん「なんだ今と変わらないじゃん」とホッとすることも多いんですが。昔は平均寿命も短かったし多産多死傾向だったし社会のセーフティーネットもないから多少のことあってもいちいち泣き言言ってられないし死生観も違うのかなあと思ったり。ただ一つ言えるのは昔は今よりずっと制約が多くてあらゆることが「ままならなかった」、あれもこれも我慢する中で選択せざるを得なかった。だから裕福な現代に生きる我々が今の価値観で彼らをジャッジするのはまかりならん(もちろん後進に生かすべき教訓はあるだろうけど)なんてことをこれを読んで思いました。その辺の視点が優しいんだよね夢やしきは。当時の人々と同じ目線に立ってそっと寄り添っている。だから安心して読めるんです。

それで私も親戚の話で思い出したのがあるんですが、脱線するけど書かせて下さい。うちの祖父の末妹は当時○○小町と呼ばれるくらいの器量良しだったんだって(○○というのは今でもちっぽけな町なんでせいぜい10人並みの顔だったのではと勝手に推測。私の親戚だしw)。近くに飛行場があって兵士が詰めていたのでよく見に行ってたらしい。いわゆる追っかけですね。そこでこれまたよくモテてた兵士と仲良くなって結婚。ところが終戦になり、旦那は日本が敗戦になったことが受け入れられずまだ戦うんじゃーと仲間と蜂起。あっさり捕まって列車で東北の方まで護送されることになったんだけどその列車が家の最寄駅を通過する時に窓から手紙を落として偶然に拾ってくれた駅長が奥さんまで届けてくれたらしい。それ聞いた時は私の親戚にもそんなドラマチックな体験した人いたの?とキャーとなったけど、後年その旦那は「さんまのからくりTV」の「ご長寿ウルトラクイズ」に出演して珍解答を連発してお茶の間を沸かせたと言う老人会でもモテモテで奥さんがよく嫉妬していたらしいですw

話を元に戻すと本当いい作品なので読んで欲しい!っていつもここで何かをお勧めする時同じこと言ってますがw 続編も何度か出てるけどこれはさちみ先生のライフワークとして断続的に執筆して欲しいです。あんなエピソードこんなエピソードまだまだ知りたいことがたくさんあるので。隠れた名作だと思うんだよなーもっと評価されてもいいと思うんだけど、てな訳で紹介させて頂きました。次はいつになるか分からないけど観劇の予定はしばらくないのでまた本の感想になると思います。それではまた。

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