「LUPIN」感想

Netflixに加入した理由は2つありまして、まず一つが先日感想を書いた「ブリジャートン家」、もう一つがこの「LUPIN」(ルパン)でした。ルパンの出身国フランス産のネトフリオリジナルドラマでございます。ブリジャートンと同時期に見たのにこちらはレビューを書くのが遅れてしまった。正直エンジンかかるのが遅くて最初はハズレかなあと思ってました。でも3話から尻上がりに面白くなってそれからは一気見。でもまだ5話までしか発表されておらずいい所で中断されているのが残念!コロナがなければ1クール全部発表できてたんだろうな。フランスすごい被害らしいし。

これモーリス・ルブランの原作をそのままドラマ化したものではなく本歌取りみたいな作品なんです。ホームズで例えると「シャーロック」に当たる感じ。舞台は現代、主役はルパンの小説を愛読し、彼をロールモデルとして尊敬しているアサン・ディオプ。アサンは少年時代に父と共にセネガルからフランスへやって来た移民で、父は資産家ペレグリニの運転手として働いていた。1995年、ペレグリニが所有するマリー・アントワネット由来の「王妃の首飾り」が盗まれ父が容疑者として逮捕された。父は無実を訴えたが認められず刑務所で自殺。時は流れ王妃の首飾りが発見されオークションにかけられるとの報が。父の無実を信じるンは一計を講じる

というのがあらすじなんですが、「王妃の首飾り」「親が疑われる」これ短編の「王妃の首飾り」と同じじゃん!そうなんです。舞台は現代でも原作のエッセンスがうまく溶け込んでいるんです。他にもアサンが使う偽名などのキーワードやエピソードは原作にもあるもので、相当に原作リスペクトを感じる。そもそも主役のアサンがルパンを人生のロールモデルとしてるし、ってお手本が怪盗でいいのかw?主人公が黒人なの「あー今流行ってますよねー」とすっかりスレた私は最初に思ってしまったのですが、20世紀始めの貧困問題と現代のグローバル化による差別問題をうまくシンクロさせていてこういう取り入れ方ならセンスいいなと逆に感心してしまった(そういうとこやぞブリジャートン!)。もちろん原作を知らなくても十分楽しめるけど知ってる人だけが分かる「くすぐり」がそこかしこに用意されているのが面白いです。エトルタも出てくるし。エトルタって観光資源としてルパンをあれだけ推してるのは知らなかった。観光客みんな黒のシルクハットにマント着けてて、私も現地に行ったら迷わず購入してると思うw

でもパーフェクトというわけではなくて星で例えるなら5段階の3.54かな。最初にも書いたけど12話目はちょっとタルかったです。メイドインおフランスなだけあってオシャンティーなのよね!オシャンティーなだけならいいけど欧州ドラマ(特に大陸)って往々にして暗くて地味。そもそもアサンの目的が父の無実を晴らす=敵討ちだから後ろ向きなのがよくない。別居だけど妻も子供もいるのに「子供に祖父を誇りに思って欲しい」からってリスク背負い過ぎでは?それより未来志向で行こうよ。どうでもいいけど海外ドラマにおける子持ち既婚男性って「優秀なのにワーカホリック/アルコール/ギャンブルなどのクズ要素があり妻に愛想を尽かされ別居or離婚、子供も思春期で親父に反発してる」なケース多すぎだと思う。アサンの奥さんはまだ気持ちが残ってるからいいけどさあとトリックがいくら何でも「そりゃないよ!」なところ。特に1話目の◯◯◯に首飾りを入れる辺り。いやいやそこは捜索されるだろ常識的に考えて。あと2話も刑務所のセキュリティガバガバすぎるし、何よりバイタル止める薬なんて存在しねーよ!と全力で突っ込んでしまった。でも分かるんだよ、「王妃の首飾り」と「ルパンの脱獄」をやりたかったことは。そこは原作リスペクトということで尊重したい。原作も「こまけえことはいいんだよ」だから野暮なこと言ってるのは自覚してるけど、程ってもんがあるだろー!

とはいえ、ルパン好きなら見ておいて損はないし、知らない人でも十分お勧めです。いいところで終わってるのが本当勿体ない!今のこの世の中でドラマの撮影するのがいかに大変なことか分かってるだけにコロナ許すまじという思いが強くなります。続きは今年の夏にやるらしいのでそしたらまたネトフリ入ろうっと。これはホームズになぞらえると「シャーロック」に当たる作品だと思うので「グラナダ版」に相当する原作に忠実なバージョンも作って欲しいですね。「アバンチュリエ」がその役割を果たしてもよろしくてよ?つーかいつも言ってるけど、しっかりした会社にアニメ化して欲しい!

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