「キンキーブーツ」感想

去年の今頃は「来年は問題なく観劇行けてるんだろうな」と無邪気に信じてたけど行けてませんよ(号泣)!!観劇感想ブログの看板下ろした方がよくね?というレベル。でも!松竹ブロードウェイシネマという映画館でBWWEの舞台が見られるお釈迦様の蜘蛛の糸のような企画があってそれなら私も行ける!前に一回東劇で「ホリデイ・イン」を見たことはあるんですが、東京だとやはり遠い。いくら映画館でも気軽には行けないと思ってたところに「キンキーブーツ」は全国の映画館で展開するとのこと!それでもうちの近くでやってなきゃ意味ないんですがダメ元で検索したら車で30分の映画館にある!これは奇跡じゃね!?というわけで行ってきました。

田舎だし観客いるかなあ?と疑問だったんですが案外いた。案外、というのは私が想像してたのは45人程度だったんですが、20人くらいいたかも。平日昼間でこれはなかなか健闘してると思いました。日本公演が評判だったから三浦春馬さん効果か?とも思ったんですが確信は持てないので「どこでこの上映を知りました?」と一人一人にインタビューしてみたくなりましたw

で、これがとてもよかった!!「王様と私」観た時も思ったんですが、日本の舞台もよいけどWEとかBWは段違いにすごい。いちいちうめーよ!!という小学生並みの語彙でしか表現できないのがもどかしい。しかも映画館の大画面と音響で生に近い臨場感が味わえるのがこれまたいいです。特にチャーリーとローラが出色。チャーリーはジャン・バルジャンもやる人だけあってうまい(うまいしか言ってない)、何よりローラがね、もうすごいの。ローラ on stageな演出が多いせいか、この舞台の出来はローラに掛かってると言っても過言でないと思う。歌もパワフルだしとても高いピンヒールブーツ履いてガンガン踊るパフォーマンスもすごいんだけど、佇まいが堂々としてて気高くて圧倒的な美!男性的な盛り上がる筋肉を見せつけながらセクシーな女性の装飾をしているというミスマッチの中でとにかく美しいんです。余り好きな表現じゃないけど性別を超越したってこういうことなんだろうなと漠然と思った。日本公演も評判よかったから見とけばよかったなーとその時後悔しました。舞台って一期一会だとつくづく思います。

ただ第二幕の後半、ミラノのショーでキンキーブーツを披露することになり、チャーリーがカリカリするようになってから少し雲行きが怪しくなってきた。こちらもそれなりの数見てきて擦れてるから「終わり近くで困ったエピソード入れて問題解決のちハッピーエンドの流れだな」と製作側の意図を察します。でもそのきっかけが余りにも急で、友人だったはずのチャーリーがイライラの余りローラに心ない言葉をぶつけるのです。普通にしてろとか恥ずかしいから表に出てくんなとか。え?お前そんなこと思ってたの?いくら何でも酷すぎね?つーか最初とキャラ変わってない?同じ人に思えないよ?困難を克服して大団円に持って行きたい気持ちは分かるけど矛盾ありまくりで強引すぎない?とすーっと冷めてしまいました。もちろんああだこうだあって仲直りしてハッピーエンドなのですが。ただ、最後ガンガン歌って踊って大盛り上がりになるのでそれに流されて「うん、まあ、こまけえことはいいんだよ!」となってしまったw チョロいwww でもミュージカルってこういうものですよね。設定とか色々矛盾あるけど踊って歌ってハッピー♪みたいな。その意味でも正しいミュージカルのあり方だと思うw

ところでこのお話の舞台は北イングランドのノーサンプトンという町なんですが、実は私行ったことあるんです。イギリスに旅行した時、ノーサンプトンで「CHESS」のUKツアーをやっててどうしても観たくて。ロンドンから電車で1時間超かかったかなあ。地名は聞いたことあるからそれなりの町だと思ってたんですが、駅は小さいし、周りに何もなくて余りにも殺風景だったので驚きました。駅からそう遠くないところに靴工場群があり、ちょっと歩くとイオンが近くに進出したら潰れてしまいそうなショボいショッピングモールがあるだけ。日本に例えると群馬県伊勢崎市や桐生市のイメージかしら。東京からそう遠くなく、かつて工業が発展したけど今は寂れてるという意味で。いや、伊勢崎や桐生の方が駅前マシだったかもしれん。私も田舎の地方都市しか住んだことなかったので、何が悲しゅうて旅行先で既視感ある寂れた町に来なきゃあかんねんと思いました。開演まで時間があったので靴のミュージアムというのに入ってノーサンプトンの街の歴史や靴の展示を見たり。そこにド派手なブーツもあったな。あれがキンキーブーツだったのかしら。実話が元になってるらしいし。

1回しか行ったことないくせに知った風な口を聞くのもあれなんですが、イギリスのカントリーピープルってぶっちゃけ日本のそれよりカントリーらしいんですよ(カタカナ言葉にすれば表現が柔らかくなると思ってる)。いわゆる労働者階級ってやつなのかも。私が経験したケースは、ノーサンプトンからの帰りの電車で男4人組と同じ車両に乗り合わせていてその1人がヘロヘロに酔っ払っていたんです。東洋人の旅行者が珍しかったらしく、彼がこちらにやって来て「チャイニーズ?コリアン?」って聞いてきて「ジャパニーズ」と答えたら大袈裟に驚いてた。「すいません、こいつ酔っ払ってて。おいお前こっち来いよ」みたいなこと仲間が言ってたっけ。その後も何かと絡みに来たなあ。悪気はなかったみたいだけど。そしてロンドンに着いたら「都会のスメルだぜ〜スーハースーハー」とかやってたなあ。あいつバカだったなあ。あとレンタカー借りた時スタッフのおじさんと乗る前に傷がないかチェックした時鳥のフンが付いていて「これは?」と聞いたらツバで擦って落とした時も驚いたなあ。だから劇中にドンという人物いたけどこういう奴いそうだなと思いました。言葉も訛っていたけどあれが北イングランド訛りなんかね?

そのドンにローラが「無視してくれればいい」と言うのが印象的でした。ここから急に真面目な話になっちゃうんだけど、私は人間の相互理解とか余り信じてない性悪説寄りな人間でして、他人が変わるのを期待するより自分が変わる方が早いと信じてるんですね。だからどうしても理解できない相手と折り合う最善の法はお互い干渉せずに無視することなのかなと。だからローラのセリフが刺さりました。「キンキーブーツ」の日本公演が評判になった時いくつか論評を読んだのですがその中に「LGBTをきちんと理解していれば笑いが起きない場面で観客が笑ってた。日本は遅れてる!」というのがあってかなりモヤってしまった。そういう風に「正しい見方」を強制されるの好きじゃないんですよ。どこで笑ったって自由じゃん。正しく理解してなくてもローラに共感し受容できればいいじゃん。第一「異性装とは違う」と言われたところで分類が複雑すぎて一般の人にはわからないぞ。そんなこと知らなくても人は愛せるんだよ、と言いたい。どうしてもダメならローラが言ってるように無視すればいいだけの話だと思うんだけど。

だけど、実際見てみたらそんな小難しいこと考えてたら損だよレベルで楽しかった。やはり楽しいのが一番です。自分なりの楽しみ方でいいんだなと自信を持たせてくれた一作でした。機会があればもう一回見たいけど春休みなのよね子供にとっては休みでも親にとっては苦行の期間なのだ、グギギギギ。

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