相変わらずコロナコロナで巣ごもり生活続きますね〜。読書の秋てな訳で本の話でもしますか。前回さちみりほ特集をやったので今度は他の作家さんのおすすめハーレクインコミック特集です。と言ってももちろん膨大な作品のほんの一部しか読んでないし、私の好みが偏っているので、有名どころに限って抑えてないとこあるけどその辺はご容赦ください。
まず最初に私の好みの傾向を紹介します。
①シークは…
シークものって異国情緒あるのはいいんだけど、どうしても現実のイスラム世界との乖離が激しすぎて…あと西洋の価値観と合わないんじゃないかとか女性が肌見せていいのかとか結婚したら豚肉やお酒ダメになるけどそれでもいいのかとか(結婚するの私じゃないから余計なお世話なんですけど!)。
②傲慢ヒーローも…
傲慢ヒーローもお約束だけど、星の数ほど作品があると「これちょっと無理なくね?顔と金以外にどこを愛せと?」と突っ込みたくなるケースも少なくなくて…傲慢と言うくらいだから当然第一印象悪いわけです。そのスタート地点から読者のハートを捕らえるまでに好感度を上げるのは121ページくらいの短編では至難の技。そのハードルを越えることができた作品は逆にめちゃくちゃポイント高いのですが。
③原作小説よりコミカライズが好きかも。
いくつか原作小説にもチャレンジしたのですが、日本人の感性には少々合わないと思う箇所がちらほらありました。恋愛観とか死生観とか萌えポイント(これ大事)とかね。コミック版の方が違和感は減るので漫画家さんも苦労しながら改変したのかなと勝手に想像してます。だから「原作をリスペクトしなくちゃ!」と畏まらなくても「自由に改変した結果面白くなればそれもリスペクトの一種やで。原作通りにしてもヘンテコだったら責められるのは漫画家さんやで」(なぜかエセ関西弁)と私は考えます。
前置きが長くなってごめんなさい。以上踏まえて独断と偏見に満ちたセレクションご覧あれ〜。
津谷先生の作品はさちみ先生の次に読んでるかもしれない。どれもいいんだけど敢えて一つ選ぶとしたらこれかなあ?仮面、天体観測、マスカレード、ベルベットボイス、月と太陽etc…(元)乙女のキュンキュンするツボを攻めまくりです!津谷先生の描くヒーローはとにかくセクシーでノーブルで、射抜くような真っ直ぐな目力がたまらない。ヒロインは目がくりっとした可愛らしい絵柄で一見甘くてほわほわしてるけど、時折ハードなストーリー展開もあり油断できない、でもそこが好き。他では、1920年代のロンドンが舞台の「診療所の天使」、今のコロナ禍にこそ読んで欲しい!若い医師と看護師のロマンスを軸に、スペイン風邪(インフルエンザ)が世界的な猛威を振るっていた時代、ペニシリンも発見されたばかりで今より衛生、栄養状態も悪い時代に人々が感染症とどう戦ったかが描かれている傑作です。
1ページ目から男性の裸体がどーんでびっくりするんですが、これがめっちゃいい話なんです。ヒーローのことをゲイかも?と疑いつつ好きになってしまった心を抑えきれず葛藤するヒロインがコミカルで憎めない。事故で失明した彫刻家のヒーローは失意の中にあっても他人を思いやる優しさと包容力を有しており、素直でまっすぐで生命力に溢れたヒロインとお似合い。ヒーロー友人もいい味出してます。ハリケーン後の朝焼けシーンと花束のシーン(と言っても分からないよね。知りたければ読むのだ!)はカラー原稿でなくても色彩が目に浮かぶほど鮮やかで感動的です。あと絵が惚れ惚れするくらい上手なんですよ!他は「愛を偽る花嫁」もおすすめ。こちらは牧場が舞台で家族を失い心を閉ざすヒロインとカウボーイヒーローが出てきます。あとハーレじゃないけど同じ先生の「花に叢雲月に風」は必読です!
挙式前に新郎に逃げられ自分に自信が持てないヒロインと狼の研究をしている動物学者のヒーローのお話。こういう普通の人が出てくるお話はハーレでは珍しいです。現実はCEOとかシークとか貴族の方がレアなんですけどねw ヒロインの気持ちを尊重して心の準備ができるまでじっくり待つ常識人のヒーローが尊い。桜屋先生の描くヒーローは格好いいんだけどどこか可愛げが垣間見えるところが好き。傲慢ヒーローの場合でもちょっと可愛いところがあると許せちゃったり(チョロい)。あとヒロインを求める時の熱っぽい眼差しがたまらないです。欲望と熱情が交じった表情でねえ…ベッドシーンよりドキッとしてしまいます。他は「いけない口づけ」もおすすめ。ヒーローは敬虔な聖職者で司祭になることが決まってる矢先にヒロインと出会ってしまい…というお話。キス以上のことはしないんだけど抑制的な分すっごく官能的で…「禁断」は恋愛を盛り上げるスパイスですね。
1人の先生につき1作品と決めてるのでこれにしたけど、どれも甲乙つけがたいので悩ましい…父の遺言により、ヒロインが遺産を受け取る条件として半年間実家の邸宅でヒーロー(亡父の養子)と過ごさねばならず…ハーレおなじみ変な遺言キターー!なんですが、しっとりした情感をたたえて繊細な心の機微を丁寧に描く作風は唯一無二。最高です。尻軽でスキャンダラスなヒロイン、傲慢で冷酷なヒーロー、仮面を被っていた2人がそれぞれお互いの真の姿を見出すが、愛するが故に一旦は身を引こうとする。しかしその時彼らを引き留めたものは!!いいところで止めといたので続きが気になったら読んでね。その一方で伊藤先生は突き抜けたギャグもお得意で「世紀のファーストキス」「花嫁追跡中!」などはゲラゲラ笑えます。「恋の秘訣」や「愛の奇跡をあなたと」はしっとりとコメディの合わせ技で好き。どシリアスで重いけど「忘れられた愛の記憶」や「大人になった夜」はその重さがクセになる…
うわあああやってしまった!初心者にもお勧めできる間口の広い作品を選んでたはずが最後の最後に賛否両論必至の癖の強いやつを…ダメな人も少なくないとは思うけど……私は好きなの!!てな訳で紹介させて下さいw ハッピーエンドだから確かにハーレクインなんだけど、このまま幸せに暮らしましたとなるのかな?と一抹の不安を残すような、でも幸せでいて欲しいような、忘れがたい印象が残ります。ヒーローを許せるか否かで評価が180度変わると思う。罪とは?罰とは?救いとは?赦しとは?なんて柄にもないことを考えてしまいました。この先生の他の作品も読んでみたけど死のイメージを色濃く感じるものが多いような(個人の感想です)。キーパーソンの死が出てくる作品はよくあるけどストーリーを動かす駒としてさらっと流されることもある中、長崎先生の作品に出てくるキャラクターは死を背負ってる重みを感じるのですよね。それが作品全体に説得力を与えているのかもしれない。他の作品になるけど「妻という名の契約」は、凡百の作家が描いたなら単なる当て馬ポジションにされがちな亡き前夫の存在がずっしりとのしかかる内容で、愛した人の死を乗り越えて別の人と結ばれる困難さが痛いほど分かります。そんな重苦しいドロドロとしたものも描けるのに、意外に本当の意味での悪人は余り出てこないのも大きな特徴。底知れない深淵とあっけらかんとした楽観主義が同居するという不思議な作風です。ハーレでは余り描かれてないので簡単に全作品集められちゃったけど、作者が既に故人なので新しい作品が生まれることはないのが本当に残念。もっと早く出会いたかったです。