新ロシア版ホームズ #3道化師

最初にこのシリーズはスピーディーな展開が特徴と書いたけど、第3話は正にジェットコースター的展開!「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!おれは写真家殺しを見ていたと思ったらいつの間にか大使館トラブルの話になっていた」みたいな。前回もそうだったけど一回につき一つの謎が回収されるけどどれも裏で一人の人間が操っていて、回を追うごとに徐々に黒幕の正体に近づくというパターン。ホームズファンならあああいつかと気づくはず。そうあいつです。いよいよ今回はあいつの名前が明らかになります。

船員の新婚夫婦が記念写真を撮ろうとした時、カメラが爆発して写真家が殺される事件が起きた。何者かがカメラに爆薬を仕込んだらしい。ホームズは捜査を始めるが沢山の写真の乾板が割れていることに気づく。なぜか夫は姿を消しており、レストレード警部曰くその男はスパイだと言うのだが…

ホームズが花嫁に犯人の人相を聞くのだけど、例えがカニだのタコだのなぜか水産物なのがおかしい。もっとおかしいのが真剣にうんうんと聞いて理解しているホームズ。それで分かるのかよ!割れた乾板に着目したホームズはそれを全部回収して現像したところ、2話でアイリーンに盗まれた写真と同じものがあった事を発見する。それでアイリーンの元へ行き写真を取り返そうとするがホームズが直談判しても渡してくれるはずがない。そこでボヤ騒ぎを起こしてアイリーンに自ら持って来させることにした。これは原作の「ボヘミアの醜聞」と同じだが、面白いのは原作ではホームズの指示だったのに対しここではワトソンが「俺に任せろ」と言い出して勝手に行動したところwさすが武闘派ワトソンだ!無事写真を取り戻したはいいが、今度はアイリーンが誘拐されてしまう。

ここまでも十分展開が早いのだが(実はかなり端折ってます)、ここからが更にすごい。彼女を返して欲しければフランス大使のコートを盗めという手紙を受け取ったホームズはマイクロフトに紹介してもらい、言われるがままにフランス大使館へと向かう。このフランス大使が愉快なおっちゃんで。「うちの職員はユーゴーばっかり読んでる!」と自国の文学disったり、カエルの肉や生ガキを食事に出して遠回しに嫌がらせするなどなかなか濃いキャラクターである。ユーゴーdisに対する対するホームズの返しが「うちもディケンズばっかり!」というのも面白い。これロシアがフランスとイギリスを皮肉ってるという構図なんだね。(小さなことだけどフランス大使の役の人フランス人だよね?他はロシア人使ってるのに)。その後ホームズは一人になったところを誘拐されてしまい、目隠しをされたまま謎の男からアイリーンの命と引き換えにフランス大使のコートを着てアメリカ大使館に忍び込むよう命令される。謎の男の目的はアメリカ大使とフランス大使を衝突させて二国間で戦争を引き起こすこと。アイリーンを人質に取られたホームズは「まるで茶番劇だ!」と言いながらも指示通りに動かざるを得ない。戦争になることで失われる多くの兵士の命よりアイリーン一人の命を選ぶホームズに納得がいかないワトソンは、話し合いでは拉致があかないと悟ったのかホームズが帰って来たところを待ち構えボクシングで殴り合いをすることで相手を受け止める。ここんとこ説明が少ないけど、付かず離れずだが実は熱い男の友情というものが見ているこちらにもひしひしと伝わってくる。

うーん、このまま語っているとラストまで突っ走ってしまうな。目まぐるしく話が進むからどこで区切っていいのやら。次回予告風にまとめると「ホームズは陰謀を食い止められるのか?アイリーンの運命は?謎の男の正体とは?」といったところか。口では強がっていても実はかなりアイリーンにデレデレなホームズ、拳で語り合うホームズとワトソンの男の友情、ユニークなキャラクターのフランス大使などなど3話の見どころもいっぱい。タイトルの「道化師」は同名のオペラから来ているけれど、有名なアリアが要所で流れる。昔高橋大輔がこれで滑っていたなーと懐かしくなった。

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