チケットないけど「ファントム」語り※ネタバレあり

まだ先ですが宝塚で「ファントム」が再演されますね。私まだ宝塚を生観劇したことないのでぜひ観たいと思うんですが何であんなにチケット取り辛いんですかね?私の調べ方が悪いだけかもしれないけど「面白かったなー買い足してまた見よう♪」ができなくないですか!?あんなに沢山座席があって1ヶ月くらい公演するのにどこにチケットあるの?比較的取りやすいオリジナル作品は当たり外れが…げふんげふん。せっかくならジェンヌの魅力を引き出したいい作品で初宝塚を飾りたいのですよ。海外ミュージカルなら信頼できるからと思うと今度はチケット取れない。という訳で未体験のままなんですが。

今回取り上げる「ファントム」、実はアンドリュー・ロイド・ウェーバー版(以下ALW版)より先に知っていたんです。90年頃だったかなあ、NHKで「オペラ座の怪人」のタイトルで海外ドラマのミニシリーズやっててそれを見たんです。ドラマなんで歌う訳じゃないんだけど内容は「ファントム」と同じ。ミュージカルなのに音楽を差し替えてドラマとしてテレビで放送するっておかしいでしょ?それには深い理由があって、イギリスのALW版と同時期にアメリカでもオペラ座の怪人のミュージカルを作っていたけど先にあちらが上演されて大ヒットしたせいで、スポンサーが離れてしまい上演できなくなったらしい。それでも没にするのは惜しいということで同じ企画をドラマとして製作したものが私が見たミニシリーズ。ミュージカルとしての「ファントム」は93年にオフブロードウェイで上演され好評を博し世界中でも上演されるようになり、日本でも2004年に宝塚が以下略という次第。

とまあ、なかなかに波乱万丈の経過を辿った作品なんです。確かにALW版と比べてしまうと地味と言うか平凡に見えるのは否めない。だってあちらはお化け作品でしょう?好き嫌いは置いといても、音楽と美術と演出とストーリーが奇跡的にぴったりハマった豪華絢爛で壮大な物語は誰でも認めざるを得ないと思う。

ただ「ファントム」がALW版に比べて「劣る」かと言うとそんな単純な話ではないと思うんです。同じ題材を扱いながら全く毛色が違う作品だから。ALW版はファントムもクリスティーヌもどこかちょっと変というか…w 余り私たちの隣にはいないタイプだけど、こちらはより人間の優しさや弱さや愚かさが丁寧に描写されていて共感しやすくなっています。ファントムとクリスティーヌの心の交流も分かりやすい。私は初めて劇団四季でALW版を観た時まだ子供だったから好きな相手に似せて作ったウェディングドレス姿の等身大フィギュア見せて「どや!」する怪人が意味不明だった。そういうのもあって当時は「ファントム」のエリックの方が人間味あってすんなり受け入れられたんです。普通にジェントルマンだしね。

そうそう、本作の特徴として怪人には「エリック」という名前が付いているのですよ。これも大きな違い。怪人を生身の人間として描写しようとする傾向が更に強い。あちらが「キモオタの悲恋話」(※個人的な見解です)ならこっちは「棄てられた子の救済物語」と言うか。とにかくエリックが純粋なんですよね。「クリスティーヌをもうあんな汚い世界に返さない!ここで2人仲良く暮らすんだ!」なんて言ったり、子供のようにはしゃぎながら彼女と地下でピクニックしたり、うう泣ける。ここにはそんな2人に茶々を入れるラウル的人物はいません。似たようなポジションでシャンドン伯爵というのがいるけどそこまで関わってこない。その代わりALW版になくてこちらにあるのが親子の情愛の描写。母親は彼を愛していたし何より父親との絆が…とにかくとことん泣かせに来るんです。

さて、ヒロインのクリスティーヌ。ALW版では(全私の中で)ビッチ呼ばわりされている彼女ですがこちらでも残念な子。まあいい子なんですよ、素朴で純真で。だけど見通しが甘いというかよく考えて物を言いなよというか。エリックに「お母さんが素顔のあなたを愛したように私にも素顔を見せて」とか言うんです。「My True Love」というとても美しいメロディに乗せて「真実の愛を受け止めて」とか歌っちゃうんです。これがとても感動的でねえ。なのに、それなのに!?説得されたエリックがようやく決意して仮面を外すと、何と彼女、恐怖におののいて逃げてしまうんです!ドラマ版だと失神してしまうんですよ!バカヤロー!!あ、とうとう言ってしまったw これ見た目で人を判断するという次元じゃありませんからね。そんな偏見はないけどエリックの顔が余りに恐ろしくて抑えきれなかったんです、ってそっちの方が何倍もひどいわw 無邪気さって時に人を傷つけるよね。しかし逃げたり失神する程の顔ってどんだけよ?特に宝塚版なんて普通に美しいから説得力がない。のっぺらぼうや一つ目小僧じゃあるまいしビビりすぎだと思う。

日本では宝塚版の他に男女キャストで梅芸でも上演しました。当時好きなアーティストが出ていたので初演の舞台観に行ったんです。エリックは繊細キャラだから演技力がかなり要求される役だけどそこは大沢たかおさんだったので流石でした。ただ歌は結構辛い評価を目にしたな…だから現在WEで「王様と私」に出ていると知ってびっくり。10年ほど経過してるので練習積んだのでしょう。

今回この記事を書くに当たって音楽聴き直したんですがしみじみいい曲ですね。またまた比べてしまって悪いけど、ALW版のような派手派手しさはなくても心に染み入る美しい曲ばかり。私これのオリジナルサウンドトラック持ってまして、エリック役がディズニーのアニメ映画「美女と野獣」のガストンの声の人なんですね。「美女と野獣」も好きでよく見たけどガストンの声を初めて聞いた時「何てよく響く深くていい声なんだ」とびっくりした記憶あります。ガストンとキャラが真逆なのも面白いw

そんな訳でとりとめもなく言いたいことを言ってきましたが、雪組の「ファントム」チケット取りに参戦するつもりであります。後で結果をツイッターで報告しますね。ここまで作品に対する思いの丈を綴ったので当たって欲しいなあw

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