宝塚雪組「ひかりふる路」感想(妄想マシマシver.)

「ファントム」無事終幕しましたね。ライビュもよかったようで行きたかったな~。今回の観劇を機に以前録画していた同じ雪組の「ひかりふる路」を見ました。前にも見たことあったんですが、家にいるとつい些細な用事で席を立ってちゃんと見られずよく覚えてなかったんです。そこで今度は1人になった時間にテレビの前にちゃんと正座して見ました。

最初に断っておきますが絶賛という訳ではないです。初見の時もいまいちピンと来なかったのですがマイナス点は後述するとして、見るべきポイントが今回ははっきり分かったので2回目の方が楽しめました。これはアレですね「望海風斗の苦しみ悶える姿を堪能する」作品ですね!私間違ったこと言ってます(すっとぼけ)?コメディ好きなんで本来辛いお芝居見るの苦手なんですが、端正な顔立ちでほんのり傲慢さを抱える人物が理想を追い求めるうちに後戻りできなくなって転落する様を見るのは、身も蓋もない表現すると自分の中のSっ気が呼び起こされますな、ぐへへ。確かに望海さんこういう役似合いますね、あまり続くとコメディもやって欲しくなるけど。それにフランク・ワイルドホーンが楽曲提供しただけあって得意の歌唱力も十分発揮されてるし。ワイルドホーンの曲はパワーで押し切るのが多いから合ってると思います。お披露目公演でワイルドホーンに依頼するなんて劇団の力の入れ具合が伺えます。

ただ、ここからマイナス点への言及になってしまうけどいまいち物足りない。描写したかったものは何となく伝わるけど描ききれてないというか。キャラは立ってるのに自由に動かし切れなかった感じ。説明過多だったり逆に説明不足だったり、だからすごく惜しい!という気持ちが強い。どうせ望海さんの苦しむ姿を見せるならロベスピエールが闇堕ちする過程を丁寧に、しつこく、ねっとり、こってりやって欲しかった!ダントンに裏切られたと思った所からあれよあれよという間に転げ落ちたから呆気なかった!そこが肝なのに!出てくる人物皆中2病みたいなもんだからもっとコッテコテでいいんだよ!という訳で私の中で赤ペン先生が直しを始めました。これから書くことは「おれさまがかんがえたさいきょうのひかりふるみち」という奴なので苦手な方は読み飛ばして下さい。もちろん演出家の先生の仕事をリスペクトしない訳ではありません。むしろここまでイマジネーションを刺激する世界を構築してくれて感謝してます。本当につまらない作品なら視聴途中で打ち切って終わりですからね。二次創作以下の代物なんで右から左へ流して下さい。と予防線張ったところで妄想の産物吐き出すよー!

冒頭、ルイ16世の死刑判決の下りはカァァァット!史実だけどのっけから主人公のイメージ悪くしてどうすんねん。そんなのナレ死(by真田丸)でええんや。革命のいい所だけ強調した後、場面転換して今度はマリアンヌの恨み節ソング。彼女の登場シーン台詞で説明しすぎだからここは歌と演出で伝えられるように。革命の表と裏ということでロベスピエールの歌と対になるとよろし(同じメロディーで歌詞だけ変えるとか転調させるとかで関連性持たせる)。ダントンとの熱い友情をもっと強調して無二の親友ぶりを客にアピール、その方が処刑時の絶望が深まるから(訳:望海さんの苦しむ顔がもっと見たいです)。そのダントンが失脚してから片腕を失って余裕がなくなりストレスとプレッシャーに押し潰されそうになる中、彼を盲目的に崇拝するサンジュストに無条件に持ち上げられ現実を見失っていく。甘言に短絡的にほだされ、マリアンヌ始め心ある仲間の忠告も耳に入らなくなる。そんな最中に敵方に命を狙われたりダントンらが何やら企んでるという事実無根の噂を吹き込まれ(史実?何それおいしいの?)さらに追い詰められ疑心暗鬼になりギリギリの所で闇堕ち。一旦闇堕ちしたら粛清の嵐!身内も汚職したら容赦なくギロチン!勢い余ってダントンも処刑しちゃうけど後で大後悔。本人もいい加減限界に近づいてるがサンジュストの崇拝は止まず。理性の祭典もカァァァット!あのシーンよく分からないから要らないよ(投げやり)。あとタレーランって必要?史実は知らないけど「全てはタレーランの手の内でした」って感じで後味よくない。清廉潔白で潔癖なやり方に大方の人間が着いて行けなくなり内部から裏切りに遭い失脚!ここは逆にちゃんと描写しなきゃ。内ゲバよ内ゲバ。今も昔もどんなに理想が美しく志が高かろうが先鋭化したら自滅する運命なのよ。最期はギロチンエンド!ジャジャジャジャーン!

ここからもっと妄想が激しくなりますよ。気をつけて。

次はマリアンヌとの関係について。マリアンヌちゃん「逆恨み?それの何がいけないの?」とまで言ってた癖に一旦ロベスピエールに心酔したら葛藤も罪悪感もなくなってるのが痛い。これじゃただの思い込みの激しい人にしか見えないよ。そこはベタでも、パリの雑踏を歩いてたら荒っぽい民衆に「お前貴族じゃね?」と因縁付けられてるところを偶然助けたのがロベスピエールで、その流れでジャコバン党の溜まり場に案内されて歓待を受け「私が思ってた人と違う…(トゥンク)」と半信半疑くらいで。間近でロベスピエールの真摯な姿を見て「この人は親の仇…彼を消さなければ憎しみの連鎖は終わらない。でもなぜ全てを手に入れたはずなのに寂しそうな目をしているの?」と葛藤しつついつしか愛するようになってしまったが、次第に彼が追い詰められ周囲の忠告も耳に入らなくなったのを見て「やはり殺すしかない。彼を止められるのは私だけ」と決意。自分の出自を明かし決行に移すが失敗、ロベスピエールも彼女を愛してるため逃す。彼女を失ったことも一因で彼は闇堕ち一直線(二幕物ならここで一幕終了なんだけどなあ)。マリアンヌは失意のままパリを去り郊外の知人宅に身を寄せ一見平和で穏やかな生活を送るが(ここで彼女に好意を寄せる心優しい青年登場させると役が増えるかも)パリの惨状を耳にして決死の覚悟でパリに戻り、自分の命を犠牲にしてもロベスピエールを説得しようと思い直す。かつて同志が集まり夢と理想を語り合った溜まり場に向かったが、そこは閉鎖され仲間も逮捕されたり散り散りになったりしていた。呆然と立ち尽くすマリアンヌ、そこへ公安委員会がやって来て不穏分子として逮捕される。牢に入れられたマリアンヌだがしばらくして釈放される。理由を問うとロベスピエールが逮捕され彼女の嫌疑が晴れたためとのこと。そこで偶然2人は再会、「私は貴方を救う事ができなかった。せめて一緒に死なせて」と嘆くマリアンヌに「私の生に意味があるとすればそれは君が生き永らえることだ」と説くロベスピエール。まあ適当な会話があったとして(そろそろ書いてて恥ずかしくなってきたw)ただ会話するだけじゃ勿体ないからここは歌うまコンビにデュエットしてもらいましょう。最後の別れをしてエンド。

ふーっ。ごめんなさいね。でもいい話だから惜しいんですよ。こうなればもっと良くなるんじゃないかな?という頭が働いてしまう。ダメダメな作品なら元からこんな気も起きないんですが。おまけに組子さん達が熱演しているから尚更ね。望海さんの苦しむロベスピエール以外では朝美絢さんのサンジュストがよかった。「死の大天使」という説得力十分の美貌に加え、恍惚とした表情でロベスピエールを見つめる視線が狂気孕んでてとにかくよかった。「ファントム」のシャンドン伯爵対決だとキラキラ具合で彩凪さんの方がいいかなと思ったのですが、こちらでは朝美さんが光ってました。その彩凪さんは女役で熱演してたけど何で娘役じゃダメなのかな?と思ってしまった。彩凪さんにとっても娘役さんにとってもその方がいいと思うのだけど。

あとダメ出しの追加で申し訳ないけど、ワイルドホーンネタ切れした?冒頭にロベスピエールが歌う曲「ジキル&ハイド」の「This Is The Moment」にそっくりじゃありません?他にも「ジャジャジャジャーン!自由!平等!博愛!」みたいな壮大な曲が多くて疲れてしまった…もっと緩急付けた方がよかったかもなあ…

ああだこうだ言ってるけど実際は結構楽しんじゃいました。何度も言うけど本当につまらなければここまで遊ばないからね。色々深読みが可能でイマジネーションが膨らむんですよね。登場人物も皆魅力的だし。だから注文も付けてしまう訳だけど。でも一素人のただの妄想なんで一笑に付してくださると幸いですw

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