一回きりの企画だったはずなのに選びきれない〜と2回に分けたさちみりほ特集、今回は第3弾です。だってあれもこれもいいんだもーん!何なら全作紹介してもよろしくてよ?……シャレにならなそうw 前回の特集記事書いた時は去年の春で、今頃は観劇も自由に行けるようになるだろう観劇ブログに戻るだろうと無邪気に信じてたけどよく考えたらワクチン開発されるまで本質的には何も変わらないじゃんねー!コロナって元々風邪のウイルスだから冬に大流行するのも分かりきってたはずなのに何を楽観視してたのやら。でもワクチンできるの予想よりも早かったですね。早く打ってブイブイ言わせながら外出したいですね。でも観劇行けるようになっても読書感想は続けるよ!ステイホームの影響で様々な本に出会えたし。前置きはここまでにして本題行きましょう。
その1はこちらhttp://zasshoku.nekoneko.mobi/?p=635
その2はこちらhttp://zasshoku.nekoneko.mobi/?p=646
公爵と内気な乙女
裕福な出版業社の娘ペネロピは大好きな本の世界に没頭したいものの、結婚するまでは兄が財産を管理しており自由に本も買えない。地味で社交界も苦手だから結婚のアテもなし。そこで彼女は手頃な男性を捕まえてとっとと結婚しちゃおうと家を飛び出す。そして馬車に飛び込んだ深酔いの公爵(ただし投資に失敗して全財産を失い保険金目当てで馬車に身投げした)と結婚承諾書にサインしてしまう、という出だしは突飛すぎるけどなぜか最後は感動してしまうお話。貴族のしきたりもルールも知らないペネロピがいきなり邸宅の女主人になり結婚お披露目舞踏会を開催する羽目になってしまう。経営や社交の手腕がないと大邸宅も持て余すのね、私じゃ無理だ…すぐに引きこもって本に埋もれたかったのに奮闘するペネロピ。夫になった公爵も彼女の知性やひたむきさに惹かれるが、好きになればなるほどお金を貰う代わりに妻の読書を邪魔しないという約束が足枷になり、横槍も入って…例によって脇役もまた素敵、特にじいやがいい味出してる!ヒロインは今で言う喪女とかオタなんだろうけど「好きな作品の原書読みたい〜」というの海外文学好きあるあるすぎるw 公爵も育ちのよいボンボンながら領民を思いやる優しさや他人の美徳を見逃さない聡明さがあって魅力的。
https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c03574
悲運の花嫁
これもヒストリカルなんですが何とバイキングもの。珍しい!スコットランド人の貴族ジョージは船が難破してデンマークの海岸に流れ着き、バイキングの娘ウルリカに助けられる。ウルリカには奴隷に売られた弟がおり、弟を助けるため結婚してブリテン島にいる父から持参金を受け取る必要があった。それで何のしがらみもない部外者のジョージに形ばかりの結婚を申し込む、ってロマンス小説によくある契約結婚ネタですね。ウルリカが孤高の女戦士って感じで物理的に強くて格好いい。さちみ先生のオリジナル作品「銀のヴァルキュリアス」を強く連想させます。これは女が国を統治し男は奴隷として売り買いされる世界を舞台にしたファンタジーで…ってそれはともかく、ハーレクインでここまで戦闘力の高いヒロインは珍しいのではないでしょうか。でもさちみ先生の物語に出てくる女性キャラは物理で戦わなくても誇り高く一切媚びず精神的に強い人が多いよね、夢やしき帝都編の富貴子さんとか好き。話が脱線してばかりだけど、この記事書くために久しぶりに読んだら映画のような密度の濃さでハマってしまった。本当にハッピーエンドになる感じがしなくてドキドキハラハラでした。タイトルの悲運ってのがちょっと分からないけど。結婚相手があんな紳士ならいいじゃんね!と思ってしまったw
https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c01879
壁の花の叶わぬ恋
シンデレラのようだと思ってたらいつの間にかロミオとジュリエットになってたという不思議な話なんですが、それよりも泣きポイントが多数仕掛けられて涙腺がヤバい。19世紀始めの英国、寄宿舎の前に捨てられていたジョアンナは19歳になり家庭教師としてある邸宅に住み込みで働くようになるが、長年の憧れだった家族の温かさに触れること叶わず冷たい扱いを受けていた。舞踏会で伯爵家の次男で軍人のルークと心を通い合わせるが彼は子供のいない兄夫婦に代わり家柄のよい娘と結婚して跡取りを作る責務があり…とここまではシンデレラ展開なんですが、この後逆転劇があり一見ジョアンナの地位が安定したかに見えたが恋の成就は更に遠のき、と二転三転!正しい心がけと行いをしていればいつか幸せが来るというのはややもすると教訓くさくなるのですが、話運びの巧みさで全然鼻につかない。意地悪な人たちも出てくるけど根からの悪人として描かれてないのが優しい。
https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c04015
ショーが終われば…
こちらは現代のニューヨークが舞台。ホリーはウェディングドレスデザイナーのジュリアの元で裏方スタッフとして働いている。ショーの当日になってジュリアが過労で倒れてしまい舞台裏はてんてこ舞いの大忙し。おまけに男性モデルが1人足りない異常事態。そこへジュリアの夫の弟であるコリンがひょっこりやって来た。ホリーは超絶イケメンの彼を遅れて来たモデルと勘違いして「早くズボンを脱いで!」と着替えを迫りあれよあれよという間に舞台に立たせてしまう…ヒロインのホリーが155センチのおチビさんなんだけど私もチビなんでとても共感してしまった。明るくポジティブに振る舞っていても常時モデル達に囲まれれば内心コンプレックスまみれになるのも無理はない。だから神から二物も三物も与えられたヒーローに不信感抱いて反発してしまうの分かる。でもヒーローにも悩みがあって…というのがこのお話の肝だけど後は読んでのお楽しみ。一言言っておきますが、ハンバーガーとかピザとかうまそうな食事シーンが多いので空腹時に読むのはお勧めしませんw ところでチビにも合うウェディングドレスで思い出したけど、私は自分の結婚式でエンパイアドレスが着たかったんだけど(高慢と偏見の影響w)ショップの人に「新郎とのバランスを考えるともう少しボリュームあるデザインの方が…」と言われ、隣を見ると確かに横にボリュームのある新郎(婉曲表現)だったので泣く泣く進言を受け入れたということがありましたw
https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c02123
嘘と秘密と白い薔薇
ロマンス小説で人気のあるジャンルとして「シークレットベビー」というのがあります。「男女が出会って間もなく激しく愛し合い一夜を共に過ごす→女性の妊娠が発覚→何らかの事情で打ち明けられない→私1人で育てよう→何年か後に発覚」というのが典型的なパターンかな。実は私余りこのジャンル好きではなくて。だって1回のなかよし(婉曲表現)で妊娠とか、確率はゼロでないにせよ「ねーよ!」って思いません?それに普通避妊するよね?特に男性側は社会的地位があるのがこのジャンルでは多いので対策怠らないはず。あと欧米ってフィクションでも行為前に避妊する描写を欠かさないんでしょ?知らんけど。それくらい「避妊大事!」と啓蒙してるのにこのジャンルが人気なの分からない。まあそれはともかく、この作品もシークレットベビーものなんです。でも面白かった。と言うか読み終わるまでシークレットベビーだと気付かなかった。まるで一流シェフが冷蔵庫の余り物で絶品料理を作ったかのよう。タイトルの「嘘と秘密」がどこにかかるか、ヒーローとヒロインだけでなく周囲の人間も巻き込んだ因縁話になっててその絡め方が巧妙でミステリアス。子供も利発で可愛くてただの「かすがい」でないところもポイント高い。粗筋紹介する暇がなくなってしまったけど、実物読む方が早いので騙されたと思って無料部分だけでも読んで欲しい!
https://www.harlequin-library.jp/book/comic/id/c03398
第4弾もあるとかないとか……?(ナ、ナンダッテー!!)